- プラート理事は状況が安定しつつあると考える正当な理由あると主張
- ドラギ総裁は政治家による中銀批判が差し迫ったリスクとの認識
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は13日、ユーロ圏経済が今年持ち直すとの慎重ながらも楽観的な見方を堅持した。成長を抑制している要因の一部が後退しつつあるようだと指摘した。
同総裁は国際通貨基金(IMF)関連会合が続くワシントンで記者会見し、英国の欧州連合(EU)離脱問題や保護貿易、ユーロを採用している幾つかの国での政治的不確実さといった逆風にもかかわらずユーロ圏経済は「目覚ましい回復力」を示していると述べた。
引き続き下振れ方向のリスクがあり、ECBは緩和的な政策を維持する必要があるとも語ったが、今年後半にユーロ圏経済が回復する可能性がまだあるかどうかとの質問に対し、ドラギ総裁は「リスク次第だが可能性のあるシナリオだ」と答えた。
ECBは3月、新たな長期リファイナンスオペ(LTRO)を開始し、金利ガイダンスも変更して少なくとも2019年末まで据え置くと発表。ECBのチーフエコノミスト、プラート理事は12日、こうした展開を招いた大幅な景気減速後、状況が安定しつつあると考える正当な理由があると主張。同理事はワシントンでのパネル討論会で、「基本シナリオ」を支える中国からの「前向きなニュース」を含めた最近のデータに言及した。
イタリア人であるドラギ総裁はイタリアについても触れ、「雇用と成長が今、優先課題となっており、こうした目的を達成するために何をすべきかイタリアは十分承知している」と話した。
ドラギ総裁はまた、政治家による中央銀行批判が差し迫ったリスクだとの認識も示した。「中銀の独立は非常に重要だ。金融政策の全ての信頼性がそれにかかっているためだ」と述べた上で、「中銀が独立していなければ、経済見通しの客観的検証ではなく政治的なアドバイスに金融政策の決定が従っているのだと人々が考えがちになる」と論じ、欧州以外の特に「世界で最も重要な」国での「中銀の独立を私が心配しているのは確かだ」と語った。
原題:Draghi Sticks to Cautious Optimism About Euro-Area Bounceback(抜粋)Praet: Tiering Can Mitigate Some Negative Effects of Policy(抜粋) Draghi Says He’s Worried About Federal Reserve’s Independence(抜粋)