- 主要国で金融政策の余地がないと決めつけはできない-日銀総裁
- 米国は対中交渉で多忙、日米交渉で具体的申し込みない-麻生財務相
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した米ワシントンで12日、日本銀行の黒田東彦総裁と麻生太郎財務相が共同記者会見を開いた。黒田総裁は必要があれば追加緩和の検討は可能との考えを示し、麻生財務相は日米貿易交渉を米国が急いでいるとは認識していないと述べた。
黒田総裁は、主要国では政策金利をこれ以上引き下げる余地は限られているとみられているが、非伝統的な金融政策ということで工夫をしており、「金融政策の余地がないと決めつけることはできない」と指摘。その上で、「わが国についてもまだ必要があれば、さらなる追加緩和ということを考える余地はある」との見方を示した。イールドカーブコントロールについては「今の時点で変える必要があるとは思っていない」とした。
また、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年の利上げ回数予想を中央値でゼロに引き下げた米金融当局の政策に関して、「世界経済の減速がやや目立ち、米国のインフレ率が安定していることから政策の正常化を急がないという判断をしたのではないか」と黒田総裁は述べた。
一方、麻生財務相は日米貿易交渉に関して、米国から「何をやりたいというような話が直接われわれに正式に申し込まれたという事実はありません。今中国が忙しくて、とてもそれだけの人がこっちに回せていないんだと思います」と発言。米国は対日交渉を急いでいないとの認識を示した。
財務省幹部は日米通商交渉について、具体的にまだ交渉は始まっておらず、自動車や農業分野でアクセスおよび枠をどうするという話にはもちろんなっていないと説明。農産物では環太平洋連携協定(TPP)以上のアクセスには合意できないことが昨年9月の日米共同声明で確認されたなどとし、首脳会談での合意を基に交渉がこれから進むと述べた。
また、G20閉幕直後の会見で、麻生財務相と黒田総裁は世界経済には下振れリスクがあるとの認識を示した上で、黒田総裁は「そういう状況の下では各国がそれぞれの状況に応じてタイムリーな政策対応が必要であるという点で認識は一致した」と発言。ただし、現時点でどういう政策を行うべきか議論が行われたわけではないと付け加えた。