- トランプ氏を激怒させた報告、パウエル議長の苦労増やすツイート
- トルコで選挙やり直し、ソフトバンクのリスク、中国メディア沈黙
ウォール街には古くから「5月は売れ(セル・イン・メイ)」という言葉があります。長い連休から戻ってきた日本のマーケットは、今年の5月をどのように迎えるでしょうか。新しい元号になって最初の「今朝の5本」には、米中の貿易摩擦や北朝鮮による「飛翔体」発射など物々しいニュースが入りました。日本以外のアジア諸国や欧米の市場では一時、リスク回避の動きが鮮明になっていました。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
報告に激怒
トランプ米政権の貿易交渉を率いるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、先週の米中通商交渉で中国側が姿勢を後退させたと大統領に報告し、これが大統領を激怒させ5日の関税引き上げ警告につながったと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。中国当局者は米国側に対し、中国の法改正が必要になるような協定には同意しないと伝えた。中国はそれまでは合意テキストの中で法改正に同意していたという。
くすぶる期待
トランプ氏の関税警告は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「一過性」発言でいったん火消しに成功した米利下げ期待を、再びくすぶらせている。短期金利市場では2020年4月の0.25ポイント利下げが織り込まれるようになった。メドレーのアナリストは、ドル高を背景とした株安が鍵になると指摘。金融状況の引き締まりが持続すれば、利下げが早期に実施されるとの見方が再燃する可能性があるという。
やり直し
トルコはイスタンブール市長選のやり直し実施を命じた。エルドアン大統領にとって汚名返上となるやり直し選は、同国の民主主義と経済に長期的なダメージを与えかねない。発表を受けてトルコ・リラは急落した。与党選挙当局によれば、新たな選挙は6月23日に実施。
頓挫のリスク
米スプリントとTモバイルUSの合併計画が実現しない場合、スプリントに190億ドル(約2兆1000億円)相当を出資しているソフトバンクは、スプリント本体とその債務390億ドルの吸収を迫られる恐れがある。孫正義氏は他の選択肢の模索や資産売却の検討を余儀なくされるかもしれないと、アナリストらは指摘。ソフトバンクにとって最善の選択肢は、新たなパートナーとスプリントを結びつける合意になるだろうという。
無かったことに
トランプ政権が中国製品への関税引き上げを警告した事実は、大半の中国メディアに無視されている。国営新華社通信から、より市場志向の強い財新、対外強硬姿勢を取る傾向にあるグローバル・タイムズ(環球時報) に至るまで、各メディアは株・通貨急落の要因をほとんど伝えていない。ソーシャルメディアの微博からは、トランプ氏のツイートを受けた投稿や関連記事が削除された。ツイートを表示した端末の画像を微信に投稿しようとしたがブロックされたと話す利用者もいる。
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