- 米中が貿易協議の再開前に駆け引き、米大統領特権をトランプ氏行使
- FRBで日銀式採用か、イランへの圧力強化、巨額損失否定せず
貿易摩擦の行方に神経をとがらすマーケットで、話題となる出来事がありました。米財務省が実施した10年債の入札で、落札全体に占める間接応札の比率がわずか53.3%と、最近の平均64%を大きく下回り、昨年4月以降で最低となりました。間接応札は外国の中央銀行による米国債の需要を示すとされており、臆測を巡らせることが好きな市場関係者の間では、貿易をめぐる米中の対立が影響したのでは、との説が浮上しています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
矛盾するシグナル
米国が計画する対中関税引き上げが発効すれば、中国は報復措置に出ると声明で発表。一方、トランプ大統領は米中合意を楽観する姿勢を示唆。米国はすでに、中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当に賦課する関税率を、東部時間10日午前0時1分に25%に引き上げるとの通知を連邦公報のウェブサイトに掲載。トランプ氏のツイートと、中国側から前向きな示唆があったとするサンダース報道官の発言を受け、米株式市場は上昇に転じたが、その後で中国の声明が明らかになると伸び悩んだ。
大統領の特権
モラー米特別検察官がまとめたロシア疑惑捜査の報告書を巡り、米司法長官に全文提出を求めた下院民主党からの召喚状を拒否するため、トランプ米大統領は大統領特権を行使した。司法長官からの要請を受け、報告書を「保護するために」、大統領は特権行使に動くほかなかったとサンダース報道官は説明した。下院司法委員会はバー司法長官が議会の召喚に応じなかったことについて採決し、議会侮辱罪に当たるとする決議案を可決した。
米国版YCCか
ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事は、将来景気が悪化し政策金利が再びゼロに引き下げられた場合に採用できる刺激措置の選択肢として、イールドカーブにおける特定の利回り水準に目標を定めることについて「もっと意見を聞きたい」と語った。目標利回りを達成するためにバランスシートを活用する準備を整えておくが、最近のリセッション時に実施した資産購入とは異なり、米国債購入に関する具体的なコミットメントはないと説明した。
プレッシャー
トランプ米大統領はイラン産金属の取引を禁じる大統領令を発令した。イランはこれより先、米欧など6カ国と結んだ2015年の核合意について、履行を一部停止すると発表。イランの要求に60日以内に応じない場合は、ウラン濃縮などに関する制限を順守しないと表明した。トランプ氏はイランによる核兵器ないし大陸間弾道ミサイル(ICBM)の製造を阻止することが狙いだと説明した。
スポーツ感覚
トランプ米大統領が過去に不動産ビジネスで巨額の損失を申告して納税を免れたとのニューヨーク・タイムズ報道に対し、同氏は「当然の権利だ」と述べて税戦略の正当性を主張した。「不動産デベロッパーなら、ほとんどがやっていたことだ。銀行と交渉をやり直すことも珍しくない。こういうのはスポーツだ」とツイッターに投稿。トランプ氏は報道を否定はしていない。
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