米国の関税引き上げに対して、中国が報復措置を発表。全面的な貿易戦争は回避できるとの前週末までの楽観論が後退し、S&P500種株価指数は1月3日以来の大幅安となりました。米国は新たな関税の詳細も近く公表する予定で、米中の通商関係が一段と悪化すれば、経済成長を抑制し、物価上昇率を押し上げるとの試算も出ています。そうなれば、米株式市場は利下げという「援軍」を期待できないシナリオも想定しておく必要があるかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

警告を無視

中国は米国からの一部輸入品に対する関税を6月1日から引き上げる計画を発表した。トランプ大統領が「中国は報復すべきではない。 悪化するだけだ」との警告をツイートしたが、取り合わなかった。中国財政省がウェブサイトで発表した報復措置によると、25%の新税率を適用されるのは2493品目で、他の製品も5%から20%の関税の対象になるという。

エスカレートすれば

ゴールドマン・サックス・グループはリポートで、直近の関税引き上げが個人消費支出(PCE)コア価格指数に及ぼす影響を0.2ポイントに上方修正。今回対象とならなかった中国製品にも追加関税が適用されれば、影響は0.5ポイントに拡大すると予想した。「貿易戦争の一段のエスカレートは国内総生産(GDP)成長率を最大0.4ポイント下押しする可能性がある」と、景気への悪影響も懸念している。

アプリ価格の行方

アップルが市場での優位性を利用し、「アップストア」でのアプリ価格を人為的につり上げているとして消費者に訴えられていた問題で、米最高裁判所は反トラスト訴訟を進めることは可能だとの判断を下した。同社がアプリ開発業者に請求する手数料の削減を求める圧力が高まる可能性がある。反トラスト訴訟が認められれば、オンライン販売を手がける企業を相手取る訴訟が増えるとハイテク大手は警戒している。

2日で2割近く

ウーバー・テクノロジーズが続落。10日の初取引で8%近く下げた後、この日は11%急落。37ドル台と、新規株式公開(IPO)価格の45ドルを大きく下回っている。ウェドブッシュ・セキュリティーズは株価下落について、配車市場の規模や食品や手荷物配送ビジネス、自動運転車への参入に関する懐疑的な見方を反映していると指摘。米中貿易摩擦で高リスク資産を敬遠する動きも理由に挙げている。

交渉頓挫

ドイツ銀行とUBSグループのアセットマネジメント部門統合交渉は暗礁に乗り上げたと、事情に詳しい関係者が明らかにした。合併すればアセットマネジメントで欧州首位のアムンディに肩を並べ、ブラックロックなど米国の巨大企業に挑む体制を強化できる。だが、統合後企業の経営支配権をどちらが維持するのかを巡り意見が一致せず、合併成立はますます見込みが薄くなりつつあるという。

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