世界で開発が進む海洋油田は、将来性が高いとされながら、日本企業にとっては実績や資金力で参入が難しかった分野ですが、このほど9つの日本企業が、メジャーと呼ばれる欧米などの国際石油資本と共同で、主に油田施設に関する技術の研究開発に取り組むことになりました。

海洋事業に強みを持つ「日本財団」の支援を受けて、メジャーと呼ばれる欧米などの大企業と、日本企業9社は、日本の10の技術について共同で研究開発に取り組むことで合意し、このほど、石油関連の企業が集まるアメリカ南部テキサス州ヒューストンで正式に発表されました。

10の技術には、海底での作業を助ける川崎重工業の「自律型潜水ロボット」、海中の広い範囲で無線ロボットなどと交信できる島津製作所の「光通信無線技術」、さびに強く、海の中の構造物の寿命が色でわかるという日本ペイントマリンの「新型塗料」などが含まれています。

日本財団によりますと、今後1年程度の共同開発を経て、半分ほどに絞り込まれるということです。

IEA=国際エネルギー機関の予測では、世界に十分な原油が供給されるには2040年までに10兆ドル(日本円で1000兆円以上)の投資が必要とされ、このうち3割は海洋油田に向けられるとみられていて、日本企業としては、今回の共同開発をきっかけに、事業を拡大する足がかりになることが期待されています。