[上海/ニューヨーク/ブリュッセル 21日 ロイター] – 米商務省は、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]が既存ネットワークの保守や既存のスマートフォン向けのソフトウエア更新を行えるようにする一時的な措置を発表した。 

こうした中、ファーウェイ幹部は、自社が米国の「いじめ」被害を受けているとし、米アルファベット(GOOGL.O)傘下のグーグルと貿易制限対抗策を巡り取り組んでいると明らかにした。 

米国のファーウェイ規制緩和でセンチメントがやや改善したことを受け、人民元CNY=CFXSはドルに対し上昇した。 

措置は、ファーウェイの既存顧客を支援するためのもので、米政府が前週発表した同社への規制を緩和するものとなる。一時的措置は8月19日まで認められる。 

近年ファーウェイ製機器を購入した地域のインターネットプロバイダーや、携帯電話サービスプロバイダーなどへの影響を和らげる可能性もある。 

ロス商務長官は声明で、新たな措置はファーウェイの機器に依存している通信プロバイダーに他の方策を立てる時間的猶予を与えることが目的だと説明した。 

今回の措置は、ファーウェイのサプライチェーンの変化が同社の顧客に直接、意図しない大きな影響を及ぼす可能性を浮き彫りにしている。商務省は新たな措置の導入期間を90日間から延長するかどうか検討する方針を示した。 

新たに製品を製造するために許可を得ることなく米企業から部品を購入することは引き続きできない。 

国営テレビの中国中央電視台(CCTV)によると、ファーウェイの任正非・最高経営責任者(CEO)は、米政府が自社の能力を過小評価していると語った。 

任氏は米規制の猶予措置について意義はほとんどないと述べた。米国の事実上の輸出禁止規制について準備してきたとも説明した。 

次世代通信規格(5G)製品が影響を受ける見込みはなく、向こう2─3年は5G技術で追い付ける企業はいないと強調した。 

米国から調達している分についても自社製造が可能だが、米国製半導体の調達を停止するという意味ではないとも述べた。 

トランプ米大統領は、対中関税の引き上げで企業が生産拠点を中国からベトナムなど他のアジア諸国に移していると指摘。これに対し、中国外務省の報道官は定例会見で「海外投資家が引き続き中国に熱い視線を送っていることは周知の通りだ」と述べた。 

米商務省は16日、米政府の許可なく米企業から部品などを購入することを禁止する「エンティティーリスト」にファーウェイと関連68社を追加した。 

ロイターは19日、グーグルがファーウェイとの取引について、オープンソース・ライセンスで公開されている場合を除き、ハード、ソフト、技術サービスの提供が必要なビジネスを停止したと報じた。 

米規制の猶予措置に伴い、グーグルなど各社が16日以前に入手可能だったファーウェイ製スマホに、ソフトウエアのアップデートやパッチといったサービス、サポートを提供し続けることが可能となる公算が大きい。 

グーグルの広報担当者はCNBCに対し「電話を最新、安全な状態に保つことは皆の利益にかない、今回の猶予で向こう90日間、既存モデルにソフトウエアアップデートやセキュリティーパッチを提供し続けることが可能になる」と説明した。 

ファーウェイ幹部はロイターの取材に「(グーグルに)われわれを阻止する動機は皆無だ。状況や米商務省の決定に伴う影響にどう対処できるのかを巡り、グーグルと緊密に取り組んでいる」と語った。 

ファーウェイはグーグルの決定を批判しないとしたほか、影響について言及するのは時期尚早と指摘。「ファーウェイは米政権のいじめ被害に遭っている。これは当社だけでなく、自由でルールに基づく秩序に対する攻撃だ」と話した。