[ニューヨーク 24日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ドル指数が前日に付けた2年ぶりの高値から下落した。4月の米耐久財受注が軟調となり、米中貿易戦争が一部要因となり製造業部門だけでなく、米経済全般が減速しつつある可能性が改めて示されたことがドルの重しとなった。

4月の耐久財受注統計では、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比0.9%減と、市場予想の0.3%減よりも大幅な落ち込みとなった。前日にマークイットが発表した5月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は50.6と、2009年9月以来の低水準。2件の経済指標で米経済が今後急速に減速する可能性があることが示された。

主要6通貨に対するドル指数は0.27%低下の97.587。前日に付けた2年ぶり高水準の98.371からは0.80%低い水準となる。

米中貿易戦争について、一部アナリストは当初、米ドルが安全通貨と見なされていること、また米国が受ける影響は中国よりも小さいとみられることから、むしろドル押し上げ要因になるとの見方を示していた。ただこうした予想は現実のものとなっていない。

モルガン・スタンレーの世界外為戦略部門責任者、ハンス・レデカー氏は「国際通貨基金(IMF)は、米政府が課す輸入関税を支払うのは主に米企業で、これにより米企業の利益率が圧迫されるとの見方を示している」と指摘。「こうしたことを踏まえると、米企業の設備投資計画の大幅な削減は特に驚くべきことではない」と述べた。

米中の通商を巡る応酬は続き、米国のポンペオ国務長官が中国は米国の安全保障に深刻な危険を及ぼしており、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)との取引を停止する米国企業は今後増えるとの見方を示したことに対し、中国外務省報道官はこの日の定例会見で、一部の米国の政治家が様々なうわさを流し、証拠を示していないと批判した。

米中の通商を巡る緊張が高まる中、米経済指標が軟調となっていることで米利下げ観測が高まっており、短期金融市場では連邦準備理事会(FRB)は今年10月までに1回の利下げを実施し、その後は来年1月に追加利下げを実施するとの見方が出ている。

TD証券の世界マクロ戦略部門責任者、マイケル・ハンソン氏は「インフレ押し上げは比較的短期的なものに過ぎない一方で、成長に対する打撃は長期化する恐れがある」とし、「現状を踏まえると、保護主義の高まりを受けFRBは利下げを検討する公算が大きい」と述べた。

終盤の取引で英ポンドは0.5%高の1.272ドル。ドルが軟調となったことなどで4カ月半ぶりの安値から回復した。英国ではメイ首相がこの日、6月7日に保守党党首を辞任すると表明した。

ユーロもドルが軟調となったことで押し上げられ、対ドルで0.24%高の1.121ドルとなっている。

ドル/円 
    NY終値 109.29/109.32
始値 109.66
高値 109.72
安値 109.28
ユーロ/ドル 
    NY終値 1.1202/1.1207
始値 1.1185
高値 1.1212
安値 1.1182