[ニューヨーク 28日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが上昇した。米10年債利回りが1年7カ月ぶりの水準に低下したものの、通商や政治を巡る懸念から安全通貨としてのドルに買いが入った。5月の米CB消費者信頼感指数が堅調だったこともドル買い要因となった。
ユーロは軟調。23─26日に実施された欧州議会選挙で親EU派が多数派となったことで安心感が広がったものの、EU懐疑派も議席を獲得したことからEUの将来を巡る懸念が出ている。マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のアソシエート・ポートフォリオマネジャー、チャック・トメス氏は「安全資産への資金の逃避がドル支援要因となっている」と述べた。
この日発表の米経済指標では、コンファレンス・ボード(CB)の5月の消費者信頼感指数が4.9ポイント上昇の134.1と、昨年11月以来の高水準を付けた。市場予想の130.0も上回り、経済活動の鈍化の兆候が出る中でも米経済が底堅く推移していることが示された。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数=USDは0.19%高の97.919となっている。
米債券市場では、トランプ米大統領が米中は通商合意から程遠いとの認識を示したことを受け、10年債US10YT=RR利回りが2.264%と、2017年10月以来の水準に低下した。
ユーロ圏では、イタリアのサルビーニ副首相が、EU財政規律違反を巡り欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が同国に30億ユーロの制裁金を科す可能性があると発言。EU財政規律は時代遅れで不公正だと主張し、「全力で」戦うと表明した。
サルビーニ氏の発言はユーロの重しとなったが、ユーロはその後は回復。対ドルEUR=EBSで1.1169ドル、対円EURJPY=EBSで122.285円となっている。ユーロは前週、対ドルで1.11055ドルと、約1年11カ月ぶりの水準近辺に落ち込んでいた。
ドル/円JPY=EBSはほぼ横ばいの109.475円。日本を訪問していたトランプ大統領は27日、日米は「おそらく8月に」通商合意を発表するとの見解を示した。
ドル/円
NY終値 109.36/109.39
始値 109.37
高値 109.60
安値 109.33
ユーロ/ドル
NY終値 1.1160/1.1161
始値 1.1188
高値 1.1196
安値 1.1160