9日まで福岡市で開かれたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議では、米中の貿易摩擦が世界経済のリスクだと共同声明に盛り込まれましたが、当事者である米中両国が歩み寄ることはなく、今月下旬のG20大阪サミットで首脳間で打開できるのかが焦点です。
9日まで行われたG20の財務相・中央銀行総裁会議では、会議の成果をまとめた共同声明で、アメリカと中国の貿易摩擦の激化が、世界経済が下振れするリスクだと指摘しました。
ただ、9日は、米中の貿易交渉の主要メンバーであるアメリカのムニューシン財務長官と中国の中央銀行、中国人民銀行の易綱総裁が会談し、ほぼ1か月ぶりに両国が意見を交わしたものの大きな進展はなかったとみられます。
また、G20の会議の場で、中国の劉昆財政相は「特定の相手に対して保護主義的な措置をとることは、貿易不均衡の解決に役立たないだけでなく、世界経済の成長も損なう」と、アメリカの交渉姿勢を厳しく批判し、当事者である米中の歩み寄りは見られませんでした。
3週間後には大阪でG20の首脳会合が開かれ、トランプ大統領と習近平国家主席が出席する見通しです。
中国製品への関税のさらなる引き上げをちらつかせ譲歩を迫るアメリカに、中国側は態度を硬化させていて、一段と深まる貿易をめぐる対立を首脳間で打開できるのかが焦点となります。
米財務長官 交渉進展ならファーウェイへの措置緩和も
米中の間で貿易をめぐる対立が一段と深まる中、ムニューシン財務長官は9日、CNBCテレビのインタビューで、交渉が進展すれば中国の通信機器大手、ファーウェイがアメリカの部品などを調達できなくしている措置を緩和する可能性に言及しました。
この中で、ムニューシン長官は「中国との貿易交渉で進展が得られるなら、トランプ大統領は、ファーウェイに対する措置について、喜んで何らかの対応をとるだろう」と述べ、トランプ大統領がファーウェイを排除する措置を中国側に譲歩を迫る交渉のカードとして利用するという認識を示しました。