[ジュネーブ/ドバイ 8日 ロイター] – イランは8日、低濃縮ウランの上限超過に続く核合意の履行停止措置であるウラン濃縮度の引き上げについて、20%への拡大も「選択肢」との考えを示した。またさらなる措置として濃縮用の遠心分離機の数を増やすと警告した。同時にイランは核兵器を追及していないとも強調した。
イラン原子力庁の報道官は「20%(の濃縮度)は現在必要ないが、われわれrが望めば生産する。3.67%という濃縮度を放棄したため、そうした行動に伴う障害や問題はない」とし、濃縮度をさらに引き上げる選択肢を最高安全保障委員会と協議したことを明らかにした。
その上で「20%という選択肢があり、さらに引き上げるという選択肢もあるが、それぞれの選択肢にはそれぞれの位置がある。今日わが国のニーズが一つであれば、相手をもう少し脅かすために別の選択肢を追求することはない」と述べた。
さらに核合意の履行停止の第3段階として遠心分離機の数を増やすことも選択肢だと発言。IR─2型とIR─2M型の再稼働が考えられるとした。報道官は核合意を離脱していない欧州諸国に対し早急に約束を果たすよう要求、イランは成果を得られるまで核合意の履行停止を進めると述べた。
こうした中、イラン革命防衛隊のサラミ司令官は、イランは核兵器を追求しておらず、そのことは世界が理解していると表明。「イランが核兵器を追求していないことを分かっていながら、核問題を巡り、世界はなぜ対イラン制裁を実施しているのか」と疑問を呈し、「イスラムの世界に核兵器は不要だ。イスラム教は大量破壊兵器を容認しない」と明言した。
これに対し、米国のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、イランが核兵器の開発を断念し、中東地域における暴力的な活動を停止するまで圧力を掛け続けると発言。またペンス米副大統領も「イランは、米国の自制を決断の欠如と勘違いすべきでない」とけん制した上で「米国はイランとの戦争を求めていない。われわれは対話に前向きだ。しかし米国が引き下がることはない」と語った。
国際原子力機関(IAEA)は8日、イランでウランの濃縮度が2015年の核合意で定められた上限である3.67%を超過したことを確認した。IAEAが加盟各国に配布した報告書によると、IAEAはオンラインの濃縮度モニターで確認したほか、分析のためサンプルを収集。報告書ではイラン側が8日、濃縮度水準について「運転者の評価に基づき」約4.5%になったと通知してきたとも記した。
イランは7日、ウランの濃縮度を核合意の規定を超える水準に間もなく引き上げると発表。これを受けてトランプ米大統領は「イランは気をつけた方がいい」と警告していた。