日本が韓国向けの半導体材料など3品目の輸出規制を強化したことをめぐり、日韓政府は12日、事務レベルの会合を開いた。4日の規制強化の後、両国の担当者が話し合うのは初めて。韓国側は、事前の連絡なく発動された「正当でない」措置だと主張。一方の日本は正当性を強調し、言い分は平行線のままだ。

 会合は韓国側の求めに応じ、東京・霞が関の経済産業省内で開かれ、課長級の貿易担当者ら2人ずつが参加した。話し合いは当初予定の時間を大幅に超え、6時間近く続いた。日本側は今回の会合は「事務的な説明の場」で、当局間の正式な協議ではないとしている。

 日本政府は、韓国人元徴用工への損害賠償問題の解決策が6月末までに示されなかったり、輸出管理に関する「不適切な事案」があったりし、「信頼関係が著しく損なわれた」(世耕弘成経産相)などとして、韓国向けの3品目の輸出手続きを厳しくした。

 経産省によると、会合で日本側は、措置に踏み切ったこうした理由を説明。韓国側からは、日本の輸出管理の制度の詳細などへの質問が多く、世界貿易機関(WTO)協定違反になる可能性があるとの主張や、今回の措置の撤回を求める発言はなかったとした。経産省は「韓国側の質問には十分に答えたと思っている」(担当者)とし、次回会合の予定はないとしている。

 一方、韓国側の説明によると、会合で韓国側は24日までに事態打開に向けて協議することを提案した。日本側は明確な回答をしなかったという。また、今回の措置が「世界の部品や素材の供給網に悪影響を与える」とし、「深い憂慮と遺憾」を表明したという。

 韓国は、今回の輸出規制強化を協議するため大統領府の金鉉宗(キムヒョンジョン)・国家安保室第2次長を米国に派遣中だ。米国務省のオルタガス報道官は11日の会見で「我々はインド太平洋地域や世界で課題を共有している。(日韓)両国との関係はとても重要だ。連携強化を続ける」と話した。

 また、韓国の大統領府の高官は12日、「日韓両国の輸出管理違反に関する公正な調査を、国連の専門家や適切な国際機関に依頼することを(日本側に)提案する」と記者団に語った。(久保智、ソウル=神谷毅)