今朝は一連のお笑い芸人騒動に対する吉本興業社長の記者会見を、各メディアが大々的に取り上げている。詳細に各メディアの報道を検討したわけではないが、昨日の長時間会見の結果は吉本ならびに岡本社長にとって完全にアウトだろう。デイリースポーツによると、吉本所属の極楽とんぼ・加藤浩次が日本テレビ系「スッキリ」で、岡本社長、大崎洋会長ら経営陣への不信感を爆発させ、現状のままならば「俺は辞める」と断言した。この言葉が今回の騒動を象徴している。お笑い芸人を統括してきた吉本の経営陣には「芸人ファースト」の視点が全くない。そればかりか、会社の資産である芸人を切り捨て、吉本興業という会社の保身を図ったのである。会長、社長が50%の減俸ですむはずがない。
もう一つの象徴的なのは前日(20日)の会見でロンドンブーツ1号2号の田村亮が語った次の発言だ。「僕がすごく不信に思ったのが、『在京5社、在阪5社は吉本の株主だから、大丈夫やから』と言われました。何が大丈夫か分からないですが、(中略)もともと好きだった会社がこんな風に変わってしまったんだという思いが募っていった」と話した。これは吉本とテレビ局の癒着と言っていいだろう。テレビ局もまたタレントを切り捨てることによって、会社の保全を図ろうとした吉本に加担したのである。吉本の機嫌を損ねたらTV局も困る。芸人の派遣を拒否されたら番組が作れなくなる。TV局は吉本に対して物言う株主ではなく、機嫌を損ねないように何気なく吉本を擁護する“おべんちゃら”株主なのである。TV局と吉本は爛れた関係にある。
一連の騒動を眺めながら思う。吉本もTV局も本気で反社会的勢力と戦おうとはしていない。「“闇営業”報道の弱いものいじめ」でも書いたが、世間体を意識して嘘をついた芸人を必要以上にいじめる。そうすることによって、反社会的勢力を容認していないことを世の中に示そうとしたかったのだろう。だがこれは、反社会的勢力と対峙する正しい姿勢ではない。勘違いと言った方がいいだろう。誰が反社会的勢力か、一般の生活者からみればほとんど判別はつかない。仮についたとしても本人を前に戦うことなど所詮無理。吉本は所属芸人が自分の子供のように可愛いのであれば、厳しく注意した上で「一緒に戦おう」と呼びかけるのが筋だろう。TV局もその意味では同罪だ。「弱いものいじめ」で反社会的勢力と決別できるわけがない。
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