[ニューヨーク 25日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、欧州中央銀行(ECB)が市場予想に反して利下げを決定しなかったことを受け、ユーロが対ドルで2カ月ぶりの安値から上昇した。

ECBはこの日の理事会で金利据え置きを決定。市場では50%を超え
る確率で利下げが決定されるとの見方が織り込み済みとなっていたため、決定を受けユーロは上向いた。

TD証券(ニューヨーク)のシニア外為ストラテジスト、マゼン・イッサ氏は「ECB理事会を前に市場ではかなりハト派的な見方が出ていた」と指摘。実際の決定は、ユーロに対するショートカバーを入れることを示すものだったと述べた。ラボバンクは、新たな資産買い入れプログラム実施の是非についてより詳細な情報を提供するという市場の期待にドラギ総裁が応えなかったと指摘。「今回の理事会での決定事項は幅広い合意に基づいていた可能性があるが、9月の理事会で予想される実際の緩和策に関する討議では、見解の不一致が顕在化する可能性がある。誰もが同一の見解を持っているわけではない」と述べた。

終盤の取引でユーロ/ドルは0.1%高の1.1146ドル。ドイツのIFO
経済研究所が発表した7月の業況指数が軟調だったことを受け、ユーロは一
時1.1102ドルと、2カ月ぶりの安値を付けていた。ユーロ/スイスフランは0.7%高の1.1046フラン、ユーロ/円EURJPY=は0.5%高の121.217円。主要6通貨に対するドル指数は0.1%高の97.813。特にドルが円に対して上昇したことが寄与した。ドル/円は0.5%高の108円71円。米経済指標がおおむね好調だったことが押し上げ要因となった。

商務省発表の6月耐久財受注統計は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比1.9%増加した。このほか、労働省公表の20日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比1万件減の20万6000件と、約3カ月ぶりの低水準となった。

連邦準備理事会(FRB)は来週30─31日に開く連邦公開市場委員会(FOMC )で利下げを決定するとの見方が大勢となっている。ウエスタンユニオン・ビジネスリューションズ(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「経済指標が堅調であることは、FRBが実施するいかなる利下げも保険的な意味合いを持つ小幅なもので、完全な緩和サイクルの開始を示すものにはならないことを示している」と述べた。

ドル/円 
    NY終値 108.62/108.65
始値 108.05
高値 108.75
安値 108.05
ユーロ/ドル 
    NY 終値 1.1145/1.1149
始値 1.1138
高値 1.1187
安値 1.1102