【バンコク時事】日韓外相会談が物別れに終わり、輸出規制をめぐる日本政府の翻意を促す韓国政府の外交努力は水泡に帰す見通しが強まった。韓国政府は貿易管理上の優遇措置が適用される「ホワイト国」からの除外に備え、さまざまな対策を講じる方針だが、事態打開に向けた打つ手は限られている。
1日午前、文在寅大統領はソウルの大統領府で、李洛淵首相や経済閣僚ら側近を集め、会議を開催した。日本の輸出規制に関する報告を受けるためで、大統領府関係者は「予想よりも長く議論した」と明らかにした。
日本政府のホワイト国除外に対し、韓国政府は超党派で取り組み、経済対策を講じて被害の最小化を図っていく方針だ。
ただ、産業通商資源省は1日、米中貿易摩擦を受け7月の輸出額が8カ月連続で前年同月比マイナスを記録したと発表。同省当局者はホワイト国除外で「不確実性が高まる」と指摘し、輸出が国内総生産(GDP)の4割近くを占める韓国経済の先行きに懸念を示した。
「さまざまな要因を考慮するほかないと話した」。康京和外相は河野太郎外相との会談後、韓国記者団に対し、日韓の安保協力についてこう語った。今月24日までに一方が破棄を通告しなければ自動更新される日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄も念頭に、日本の方針転換を促す狙いだ。
だが、韓国メディアによると、GSOMIAについては、情報機関・国家情報院の徐薫院長が1日、「実益としても象徴的な意味としても重要だ」と強調。対抗手段をめぐり韓国政府内の方針が定まっていないことを露呈した。
文大統領を支える与党「共に民主党」幹部は1日、1919年の「三・一独立運動」と絡め、ホワイト国除外で「第2の独立運動が火のように起こるだろう」と強調した。韓国では対日関係の展望が開けない中、政府・与党が国民感情に訴える場面が増えている。