[ワシントン 1日 ロイター] – 米民主党が30、31日の両日実施した大統領選候補者の第2回討論会を経て、候補者選びはバイデン前副大統領とウォーレン上院議員の一騎打ちとなる可能性が強まった。 8月1日、米民主党が実施した大統領選候補者の第2回討論会を経て、候補者選びはバイデン前副大統領とウォーレン上院議員の一騎打ちとなる可能性が強まった。
バイデン氏は6月の第1回討論会で劣勢に立たされていたが、31日にミシガン州デトロイトで開かれた討論会では、最有力候補の地位を失いかねないとの懸念を和らげるのに成功したようだ。
バイデン氏は、長い政治キャリアやオバマ前政権下での実績などを強調し、より闘争的な発言で中道派候補としての立場を死守。ハリス上院議員など多くの候補から集中砲火を浴びたが、ほぼ無傷で切り抜けた。
政治アナリストやバイデン氏の側近らは、ハリス氏から人権問題で突き上げられ、守勢に立たされた第1回討論会のような場面はなかったと言う。
バイデン氏の上席顧問、サイモン・サンダース氏は討論会後に記者団に対し「討論会での焦点は、バイデン氏が打撃を被ってしまうのか、それとも押し返せるのか、強くあれるのか、ドナルド・トランプ氏を打ち負かせるのかだった。そしてその答えは、明快なイエスだ」と語った。
これに先立ち、支持率を伸ばしているウォーレン上院議員は30日の討論会で、穏健派からの批判に激しく反論した。同氏の政策は大風呂敷を広げ過ぎで、財政コストがかかり過ぎると指摘されている。
対照的に、31日の討論会ではバイデン氏が、穏健派としての政治実績を急進派から繰り返し攻撃された。
両日の討論会で明らかになったのは、民主党を引き裂く思想的な溝はすぐに埋まりそうもなく、有権者は間もなくどちら側に付くかの選択を迫られるということだ。
ウォーレン氏はサンダース上院議員と並び民主党左派を代表し、バイデン氏は中道路線を進んでいる。
バイデン、ウォーレン両氏はまだ討論会で同席しておらず、次の討論会は9月に予定されるため、民主党の候補者レースは今後数週間、比較的動きが小さそうだ。
<選択>
バイデン氏はハリス氏から、オバマ前大統領の医療保険制度「オバマケア」などについて攻撃されたが、バージニア大の政治アナリスト、カイル・コンディク氏は防衛に成功したとみている。30日の討論会後にはウォーレン、サンダース両氏が穏健派より優位に立ったとの指摘もあったが、バイデン氏の討論会出席を待たない分析は尚早だったとコンディク氏は言う。
今週の世論調査では、バイデン氏の支持率は34%となり、6月の第1回討論会での失地を概ね回復した。ウォーレン氏は15%。最近の他の調査でも、ウォーレン、サンダース両氏のいずれかが2位で、バイデン氏がかなり差を付けて首位に立っている。
民主党ストラテジストのジョール・ペイン氏は、今週の2つの討論会で民主党員は両極端の選択を突き付けられたと指摘。「民主党が急進派の主張を掲げてトランプ氏を破ることは無理だと思うなら、バイデン氏がかなり大きくリードし続けるだろう。しかし民主党は革新的な政策を提示して大胆に限界に挑むべきだと思うなら、左派のサンダース氏かウォーレン氏から選ぶのが当然だろう」と述べた。
トランプ大統領は、バイデン氏が民主党候補に選ばれると信じていると述べている。
ペイン氏は、トランプ氏が最近、移民系女性議員に「国へ帰れ」と述べた問題は、バイデン氏の思うつぼだったとみる。トランプ氏の言動が乱暴になればなるほど、民主党の有権者は急進的な構造改革よりもトランプ氏を打ち負かせる候補を優先しそうだからだ。
「トランプ氏が『実存を脅かす脅威』である限りは、民主党有権者にとってジョーおじさん(バイデン氏)は頼れる安心毛布(幼児がいつも手元に置く毛布)だ」とペイン氏は話した。
(James Oliphant記者)