[チューリヒ 5日 ロイター] – スイス国立銀行(中央銀行)が5日に公表したサイト・デポジット(市中銀行が中銀に預ける要求払い預金、当座預金)に関する統計から、通商問題を巡る懸念を背景にスイスフランが対ユーロで上昇する中、スイス中銀が先週も外国為替市場への介入を継続した公算が大きいことが分かった。 

中銀の統計によると、8月2日までの週のサイト・デポジットは5827億フラン(5980億ドル)16億フラン増加した。前週も17億フラン増加しており、アナリストは中銀がフラン相場の安定化に向け介入を継続したとの見方を示している。 

スイス中銀はサイト・デポジットの増加についてコメントを控えている。 

フラン相場は対ユーロで年初から3.5%上昇。スイスの輸出業者に対する圧迫要因となっている。この日の取引では、欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測の高まりに加え、米中貿易戦争の激化に対する懸念を背景に、フランは対ユーロEURCHF=で1.09フランを上回った。 

J・サフラ・サラシンの首席エコノミスト、カーステン・ジュニウス氏は「スイス中銀は明らかに市場に介入している」とし、中銀は向こう数週間で一段の介入を実施すると予想。ただ、スイス中銀が現在マイナス0.75%としている政策金利を引き下げる場合、9月12日に予定されているECB理事会後まで待つ公算が大きいとの見方を示した。ECBは9月の理事会で利下げを決定するとの観測が高まっている。 

コメルツ銀行のシニア外為ストラテジスト、Antje Praefcke氏は、 すでに膨れ上がっているバランスシートの一段の拡大につながるものの、現時点では市場介入がスイス中銀に残された唯一の手段となっていると指摘。「スイス中銀が現時点で利下げを行えば、ECBが利下げした後に追加利下げを迫られる可能性があるため、スイス中銀はECBに先んじて動くことはしないだろう」と述べた。