【ソウル時事】北朝鮮は24日、再び弾道ミサイル2発を発射する挑発に出た。韓国が23日に日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を通告し、日米韓の安全保障協力に亀裂が入るタイミングでのミサイル発射には、3カ国の連携に揺さぶりをかける狙いがうかがえる。

 北朝鮮は7月下旬から新型短距離弾道ミサイルを含む飛翔(ひしょう)体を相次いで発射しており、今回が7回目。24日のミサイルは東部の咸鏡南道・宣徳付近から日本海に向けて高い高度で発射されており、韓国を標的にした軍事的威嚇とみられる。

 「日米韓安保協力の象徴」とされてきた協定破棄に対しては、米国が異例の「強い懸念と失望」を表明。韓国大統領府の金鉉宗・国家安保室第2次長は「一層堅固な同盟関係になるよう努力していく」と強調したが、米韓同盟が弱体化するとの懸念も出ている。

 北朝鮮は24日、ウェブサイトを通じて、韓国による最新鋭ステルス戦闘機F35A導入などを改めて非難。「南朝鮮(韓国)当局が北南関係悪化の主犯であることをはっきり示している」とけん制し、米朝の間に挟まれる文在寅政権への圧力を強めた。日米韓の安保協力の枠組みから韓国を分断しようとする思惑が透ける。

 一方、金正恩朝鮮労働党委員長はトランプ米大統領への書簡で、米韓合同軍事演習が終了すればミサイル発射を停止し実務協議を再開する考えを伝えていたが、20日に演習が終わったにもかかわらず、約束をほごにして発射に踏み切った。

 トランプ氏は今回の発射について「多くの国が短距離ミサイルの実験を行っている」と問題視していない。しかし、北朝鮮の李容浩外相は23日の談話で、対話相手のポンペオ米国務長官が制裁維持を強調したことに不満を訴え「こうした人物と向かい合って、何の問題を解決できるのか」と批判している。米韓筋は「北朝鮮はまだ対話に臨む準備ができていない」との見方を示した。