[ワシントン 18日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.75─2.00%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを7対3で決定した。利下げは予想通りで、前回7月に続き今年2回目。ただ今後、追加利下げを実施するかについてはほとんど手がかりを示さなかった。 

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、米経済見通しは「良好」で、労働市場は力強く、インフレ率はFRBが目標とする2%を回復する公算が大きいと指摘。ただ、世界的な経済成長の鈍化や通商問題を巡る緊張の高まりなどの「現在見られているリスクに対する保険」として、利下げを決定したと説明。「景気が実際に下向けば、一段の追加利下げが適切となる」としながらも、「FRBはデータに高度に依存する。あらかじめ決められた軌道には乗っていない」と述べた。 

FRBはFOMC声明で、労働市場は「力強く推移」し、経済活動は「緩やかなペースで拡大している」と指摘。雇用の伸びは「概してここ数カ月堅調」だったとしたほか、家計支出は「力強いペースで増加した」とした。ただ「企業の設備投資と輸出は弱まった」との認識を表明。見通しに対する「不透明性」は残るとし、「景気拡大を維持するために適切に行動する」とした。 

<短期金融市場> 

FRBは米短期金融市場でFF金利の実効レートが今週、FRBの誘導目標を超えたことを受け、銀行の超過準備に適用する付利(IOER)を30bp引き下げ1.80%とすることも決定。FF金利誘導目標の上限との差を15bpから20bpに拡大させた。このほか、またレポ金利も1.70%と、FF金利の誘導目標下限を5bp下回る水準に設定した。 

ニューヨーク連銀が18日公表したデータによると、FF金利の実効レートUSONFFE=は17日に2.30%に上昇し、金融危機以来約10年ぶりにFRBの誘導目標を超えた。ニューヨーク連銀はこの日、FF金利を誘導目標の範囲内に維持するため、レポ取引を通じて750億ドルの資金供給を実施。前日の531億5000万ドルに続く資金供給となった。 

パウエル議長は、資金調達市場で見られた逼迫は予想よりも大きかったとの認識を表明。予想より「早い時期」にバランスシートの拡大を再開させる必要が出てくる可能性があると述べ、FRBが近く何らかの措置を決定する可能性があることを示唆した。 

<金利見通し> 

今回新たに公表されたFRB当局者の金利・経済見通しで示された予測中央値は、金利が2020年を通して新たなレンジ内にとどまるというものだった。ただFRBに内在する見解の相違を反映し、政策当局者17人のうち7人は25bpの利下げが年内あと1回実施されるとの見通しを示す一方、5人は年内に利上げが必要になるとの見方を示した。 

こうしたタカ派とハト派の見解の相違は今回のFOMCでの決定にも反映され、セントルイス地区連銀のブラード総裁が50bpの利下げを主張した一方、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁とカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は利下げに反対。パウエル議長は、金利の道筋を巡る観測と景気見通しについては「先行き不透明感が強い」と述べた。 

景気見通しについては大きな変更はなく、19年の成長率は2.2%になるとの見方が示された。失業率は20年を通して3.7%になるとの見通しが示されたほか、インフレ率は19年は1.5%、20年は1.9%と、FRBが目標とする2%を引き続き下回るとの予測が示された。 

<トランプ米大統領、FRBは「根性なし」と批判> 

FRBの利下げ幅が25bpにとどまったことについて、トランプ大統領は、ツイッターへの投稿で「根性なし。判断力なし。展望なし!」と批判。パウエル議長については「恐ろしいほど意思疎通が下手だ」とし、「パウエル議長とFRBはまたもやしくじった」と不満を示した。 

FRBの決定を受け、米株価は一時下げ幅を拡大する場面もあった。米10年債利回りはやや上昇した。