[フランクフルト 24日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は24日の定例理事会で政策金利を据え置いた。また前回9月の決定通り、11月から月200億ユーロのペースで資産買い入れを再開し、「必要な限り」継続することを確認した。
主要政策金利のリファイナンス金利は0.00%、限界貸出金利は0.25%、中銀預金金利はマイナス0.50%にそれぞれ据え置いた。
今月末に退任するドラギ総裁にとって今回が最後の理事会。会議には次期総裁のラガルド氏も出席した。
ユーロ圏全体の成長率は低調だが、ドラギ総裁は緩和的な金融政策の恩恵はリスクをはるかに上回るとし、「できる限り最善の方法で職務を全うしようとしてきた」と主張。理事会内部の対立に関しては「継続する議論の本質的部分であると捉えている」とした。
また、ECBが超低金利やマイナス金利による意図しない影響に引き続き注視しているとした上で、これらの金利が融資拡大を通じて経済を刺激し、雇用増加を支援したと述べた。
次期総裁のラガルド氏にどのようなアドバイスをしたかとの質問には「アドバイスは必要ない」として詳細には触れなかったが、ドラギ氏自身はユーロ圏の物価安定化という責務を追求してきたとし、「決して諦めない。ある意味で、これはわれわれの財産の一部だ」と強調した。
政策金利の据え置きが予想通りだったことで、金融市場への影響は限定的。ユーロ/ドルEUR=は1.1123ドル、独10年債利回りDE10YT=RRはマイナス0.382%で小動きだった。
資産買い入れ再開を巡っては、ドイツやオランダ、オーストリアの中銀総裁など少数のタカ派だけではなく、フランスの理事会メンバーも反対している。
ロイターのアナリスト調査によると、約95%が追加緩和策について、ECBのインフレ目標達成にそれほど役立たないと回答している。
アクサグループのチーフ・エコノミスト、ジル・モエック氏は、反対意見がもはや同じ中核国のみではなくなっていているとし、「包括的な金融緩和策に対する理事会内の意見の対立は無視できない」と述べた。
BMPパリバは「ECBの金融政策は当面、自動的に運営されるだろう」と指摘。「2020年以降も現在の超緩和的なスタンスが維持されるとみており、追加緩和のハードルはかなり高い」との見方を示した。
ドラギ総裁は、この日の理事会で反対派は矛を収めたようだったと指摘。メンバーからは団結を呼び掛ける声や、過去のことは問うべきではないとの意見もあったという。
ただECB内の混乱は続くもようで、ラガルド次期総裁は超緩和的な政策が預金者や金融機関、年金基金の打撃となり、物価押し上げ効果はほとんどない一方で金融バブルにつながるという反対論に対処しなければならない。
ECBは2%に近いが下回る水準とインフレ目標を設定しているが、9月はわずか0.8%にとどまる。ラガルド氏は政策を見直す方針で、新体制の下でこの目標は変更される可能性もある。
DZバンクのアナリスト、レネ・アルブレヒト氏は「ドラギ政策の妥当性を確認するため、ラガルド氏は金融政策の見直しが終わるまで対応を待つだろう」と指摘した。