- 当局は全ての学校の休校を指示、ハンセン指数は3週ぶり安値
- 共産党系の環球時報、人民解放軍や武装警察の介入ほのめかす
香港は6月から混乱が続いているが、今週に入ってからの騒乱は別次元だ。今後の行方を巡り不安が強まっている。
13日は地下鉄や道路が寸断され、金融街の中環(セントラル)では催涙弾が飛び交い、中心部から離れた大学キャンパスでは警察と学生が激しく衝突した。香港は3日連続でこうした機能不全に陥り、当局は今回の騒乱で初めて幼稚園から大学まで全ての学校を14日に休校とするよう指示を下した。
これまでの抗議デモは週末にほぼ限定され、それ以外では月曜朝の通勤を混乱させようという動きがたまに見られた程度だった。混乱の激化はすでにリセッション(景気後退)入りした香港経済への懸念を再燃させ、13日のハンセン指数は1.8%安と3週間ぶりの安値で終了した。
香港の民主化拡大を推進する「進歩的弁護士グループ」のメンバーで政治コメンテーターのケビン・ヤム氏は「現在目の当たりにしているのは暴力の激化とデモ参加者の減少だ」と指摘。「これがどこに向かっているのかは分からない。多くの点で、少し未踏の領域に入っている」と語った。
香港政府は混乱収拾が可能だとあらためて市民を落ち着かせようとし、暴力行為をやめるよう呼び掛けている。一方、中国国営メディアは表現を強めている。新華社通信は論説で、香港は「最も重大な岐路」にあるとし、「黒装束の暴徒」による暴力は今やほぼテロ行為だと非難した。
共産党機関紙・人民日報系の環球時報は13日、香港統治の基盤としている基本法に基づき、中央政府が「直接介入」に乗り出す可能性があると示唆。「暴徒らの破壊行為の現場は本土の武装警察部隊の出先機関から自動車ですぐの距離で、人民解放軍の香港駐屯地からは歩いても近い」と報じた。
中国の介入に対する不安はデモが始まって以来あるが、事態がそこに至ったかどうかは不明だ。中国の軍や警察がデモ鎮圧に乗り出せば香港の自治に対する疑念を呼び、米国が認めている貿易上の特権を香港は失うリスクがある。
原題:
Unprecedented Hong Kong Chaos Raises Fears About What’s Next(抜粋)