拉致

国連で、日本の拉致被害者の即時解放を北朝鮮に求める決議が採択され、北朝鮮の人権侵害に対する国際社会の懸念と不満が改めて示されました。

この決議は日本やアメリカなどおよそ60か国が、今月、共同で国連の委員会に提案したもので14日、無投票で採択されました。

決議は、北朝鮮の1090万人の市民が栄養不良の状態におかれ、拷問や収容所への収監など人権侵害が行われていると指摘しているほか、すべての拉致被害者の正確な情報の提供と速やかな解放を求めています。

決議の採択は15年連続となり、国際社会の懸念と不満が改めて示された形です。

採択に先立って、日本の川村泰久国連次席大使は「拉致被害者が、祖国から遠く離れた地で40年以上も救出を待ち続け、家族たちがその帰りを待ちながら苦しみ続けていることを強調したい」と述べて、拉致被害者の即時解放を訴えました。

これに対して北朝鮮のキム・ソン国連大使は、拉致問題には一切触れずに「決議はでっちあげだ」などと主張して、採決の直前に退席したほか、北朝鮮の友好国の中国やロシア、それに人権侵害が指摘されるベネズエラやベラルーシなどが採決に参加しませんでした。

一方、日本はこれまで、草案の作成段階から深く関わっていましたが、ことしは、EU=ヨーロッパ連合が作成した草案を支持するのにとどまり、国連外交筋からは北朝鮮を過度に刺激するのを避けたのではないかという見方も出ています。

これについて日本の国連代表部は「日朝関係を取り巻く状況を勘案した総合的な判断だ」と説明しています。