- ディーゼルエンジン2種類に不正装置が取り付けられていた疑いで
- 14年以降搭載のエンジン、対象車種は30万-40万台にも-アナリスト
三菱自動車のドイツ子会社を同国検察当局が捜査している。ディーゼルエンジン2種類に、排ガス検査で基準を超えないようにする不正装置が取り付けられていた疑いがあるという。
警察および検察当局は21日に国内の関連10カ所で家宅捜索を実施したと、フランクフルト検察の広報担当、ナージャ・ニーセン氏は電子メールで発表した。うち3カ所はドイツの自動車部品メーカー、コンチネンタルの事業所。コンチネンタルが電子メールで送付した文書によると、同社は証人として捜査に全面的に協力している。
三菱自ドイツ子会社の広報担当は電子メールを通じ、捜索を受けていることを確認した。三菱自広報担当の井上徹二氏は電話取材に詳細な情報は収集中だが当局の調査には協力していくと述べた。
不正装置搭載が疑われるのは、欧州連合(EU)の排ガス基準「ユーロ5」と「ユーロ6」に対応する1.6リットルと2.2リットルの4気筒ディーゼルエンジン。当局は2014年以降に該当エンジンが搭載されている自動車を購入した顧客に対し、警察に連絡を取るよう呼び掛けている。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストによると、三菱自は14年以降に欧州で約70万台の車を販売。ディーゼル比を考えると対象車両は30万-40万台程度になると推測し、「深刻な事態になる可能性はある」と指摘した。一方、日本など欧州以外の市場ではディーゼル比率が低く大きな影響は出ないだろうとの見方を示した。
リコールや訴訟などで300億-400億円に上る可能性もあるが、それで会社の屋台骨が揺らぐようなことにはならないのではないかとも話した。日産自動車の出資を受ける前から製造されているエンジンであり、アライアンスへの影響も少ないが、三菱自の株価が大きく下がるなどして、追加の支援が必要になる可能性もあるかもしれないと述べた。
ディーゼルエンジンの排ガス不正問題では2015年に独フォルクスワーゲン(VW)が米国で検査時だけ排ガスをコントロールする機能がフル稼働するソフトウエアを搭載していたことが判明して以降、多くの自動車メーカーが調査の対象となっていた。
原題:Mitsubishi Probed in Germany on Diesel Cheating Allegations (1)(抜粋)