[ダボス(スイス) 24日 ロイター] – 日銀の黒田東彦総裁は24日、台風の相次ぐ上陸で工業生産が影響を受けたため、日本経済は昨年第4・四半期にマイナス成長に陥った可能性があるとの見方を示した。 

黒田総裁はスイスで開かれている世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のセミナーで、「日本経済は昨年第4・四半期にマイナス成長に陥った。これは主に2回の台風被害に見舞われたことに起因する。日本では自然災害の被害が確実に拡大している」と指摘。自然災害の影響を受けることが多い国として、日本は気候変動に関連するリスクの最小化に向け取り組んでいく必要があるとの考えを示した。 

その上で、「日本は世界で最も省エネが進んだ国の1つだと考えているが、排出量削減に向け日本は一段と努力する必要がある」と述べた。 

日本経済については、堅調な資本支出と家計所得の増加に支えられ、引き続き緩やかな拡大トレンドが継続しているとの見方を改めて表明。低金利環境の長期化で銀行システムにマイナスの影響が及ぶ可能性があるとしながらも、大規模な刺激策を維持していく姿勢を強調した。 

総裁は「マイナス金利を含む低金利環境がこれほど長期化していることは、金融システムに何らかの副作用が出る可能性があることを示している」とし、「われわれは金融部門と金融市場を注意深く監視している。これまでのところ金融バブルなどは確認されていない」と述べた。