[7日 ロイター] – 米労働省が7日発表した1月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から22万5000人増と、伸びが加速した。1月は比較的暖かかったため、気候に左右されやすい部門で雇用が増えた。設備投資の低迷が悪化する中でも米経済が緩やかに伸び続ける可能性を示唆した。市場予想は16万人増だった。 

ただ今回の統計では2018年4月から19年3月までの雇用者数が51万4000人分下方改定された。09年以来の大幅な年間改定だ。雇用の伸びが今年、急減速する可能性がある。 

市場関係者のコメントは以下の通り。 

⚫堅調な内容、経済の耐性示唆 <米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)の主任エコノミスト、ダグ・ダンカン氏> 堅調な内容だ。1年間の就業者数の伸びは下方改定されたが、過去の傾向に照らせば珍しくはない。 
 われわれはショックに対して耐性のある経済を想定しており、雇用報告はこれを裏付ける。非農業部門の就業者数の伸びが予想をはるかに上回ったという事実は、経済に引き続き耐性があることを示唆している。 
 もっとも米連邦準備理事会(FRB)が見通しを変更する要因はなく、引き続き政策金利は維持されるだろう。 

⚫FRB動くに不十分、年内は据え置き <チェリー・レーン・インベストメンツ(ニュージャージー州)のパートナー、リック・メックラー氏> 雇用者数は予想を上回った。景気が一段と強くなれば金利上昇が示唆されるため、市場は現時点では経済が過熱もせず、冷え込みもしない状態を望んでいる。 
 市場は新型コロナウイルスを巡る最新のニュースに反応している。米市場はうまく吸収できるとの見方から上向いているが、中国が受ける影響は想定よりも拡大するとのニュースも数多く出ている。 
 米連邦準備理事会(FRB)は年内の大半はどちらの方向にも動かないとの見方が市場で大勢になっているようだ。1月の数字は堅調だったものの、過去の数字は下方修正されるという今回の結果は、FRBが何らかの措置を講じるには十分ではない。 
 ただ、財政赤字の増大と政府支出が景気浮揚の要因になっているという2つの事実は将来的に金利にマイナスの影響を及ぼすと感じる人たちもいるだろう。多くの人が将来的にはそのように考えるようになる。 

⚫予想通り堅調、新型肺炎で製造業の低調続く <ウェルズファーゴ・インベストメント・インスティチュート(セントルイス)のシニア国際市場ストラテジスト、サミール・サマナ氏> 非農業部門雇用者数の伸びは予想を上回った。重要なのは労働参加率が引き続き上昇したことだ。失業率も上昇したが、おそらく労働参加率が上昇したためだろう。賃金や労働時間も安定的だった。 
 全体的には予想に沿った非常に堅調な内容だった。製造業は依然として低調だが、これまでの傾向が続いているだけで驚きはない。むしろ、新型コロナウイルスの影響で引き続き低調に推移するだろう。世界的な供給網に影響が及ぶ可能性がある。