立憲民主党で枝野幸男代表ら執行部に対する中堅・若手議員の不満が強まっている。新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の採決では、造反や棄権が続出した。経済対策で消費税減税を訴えない姿勢にも批判が広がる。18日には閉鎖的な党運営を理由に山尾志桜里衆院議員が離党届を出すなど、“枝野一強”の足元が揺らぎ始めている。(千田恒弥)
「さまざまな議論があっても、最後はグッと我慢する力を国民は見ている。まとめる力をもって、みんなでやっていきたい」
立民の安住淳国対委員長は19日の野党統一会派の代議士会でこう呼び掛け、特措法の衆院採決で造反者を出したことを陳謝した。ただ、当事者である山尾氏の姿はなく、しらじらしさも漂った。参院本会議での採決でも、石垣のり子参院議員が採決直前に退席した。
これまで立民では、立党の立役者である枝野氏らに表立って反抗する動きは少なかった。しかし、山尾氏は離党届を出した18日の記者会見で、枝野氏の憲法改正議論への消極姿勢や安住氏の国会運営を名指しして批判。党執行部への不満が表面化し始めている。
特措法の審議をめぐり、執行部は政府・与党に協力する方針を決めたが、党内には私権制限の懸念から疑問視する声があった。
さらに火種になっているのが、枝野氏が経済対策として消費税減税を打ち出すのに消極的だったことだ。他の野党も減税を打ち出しているうえ、支持者には減税を求める意見が強かった。
枝野氏はようやく17日に「消費税(減税)を含めてあらゆる施策を選択肢として検討する」と発言。19日には、福田昭夫衆院議員が会長を務める野党統一会派の勉強会が「消費税5%減税」を打ち出すよう枝野氏に求めた。だが、若手議員は「枝野氏が本気で減税を容認するか分からない。ただのガス抜きではないか」と不信感を隠さない。
立民の関係者は、消費税増税をめぐって分裂した旧民主党との類似性を指摘しつつ「政権・与党と対立軸を打ち出せない場合、遅かれ早かれ分裂するのではないか」と漏らした。