新型コロナウイルスの感染拡大で、7都府県に緊急事態宣言が発令されてから7日で1カ月。市民の暮らしや中小零細企業の苦しさは深刻さを増し、自治体や金融機関には、大型連休中も給付金や融資の相談が相次いでいる。
東京都練馬区では5日、職員ら15人程度が「シフトを減らされ家賃が払えない」などと訴える区民の生活相談に追われていた。区のコールセンターには4月27日の開設以降、平日4日間で750件以上の電話が殺到。急きょ連休中も対応すると決めた。
区生活福祉課などによると、フリーランスや個人タクシー運転手らの収入減少を訴える声が多い。家賃相当額を支給する給付金の申し込みは早くも約650件に上り、担当者は「生活を立て直したいと訴える区民を支えられれば」と力を込める。
感染を疑う人々からの電話相談に応じる保健所でも緊張が続く。大田区保健所では、応援職員を含め最大40人が対応。担当者は「認知症の人は『息が苦しい』などの症状を伝えられないケースもある」と話し、高齢者施設などでの集団感染に神経をとがらせる。
最大で1日300件に上った電話相談は半減したが、「治療薬に関する問い合わせや、長時間のクレームの電話が増えてきた」と担当者。職員の終電での帰宅は常態化し、土日の出勤も当たり前になったといい、「感染者数は減っても負担感は変わらない。収束はまだまだ遠い」と訴えた。
5日、城南信用金庫本店(品川区)でもひっきりなしに電話が鳴っていた。出勤した約10人の職員は手元の資料に目を落としながら、融資制度の仕組みなどを説明していた。
同信金が1~3日に窓口で受けた相談は2193件。川本恭治理事長は「新規の申し込みも多い。通常なら融資が必要ない企業も頼ってくる」と明かす。
「このままだと立ちゆかなくなる人がたくさん出る」との懸念は強く、飲食店のチラシ作成や名産品の通信販売も支援する。川本理事長は「資金繰りだけでなく、私たちにできることがないか考えていきたい」と意気込んだ。