【シリコンバレー時事】新型コロナウイルスの流行が、見知らぬ人同士を結び付けるシェアリング(共有型)ビジネスを直撃している。各地の外出制限が緩和されても、当面は社会的距離の確保が求められる見通しで、ライドシェア(乗り合い)や民泊仲介大手は新機軸を模索している。
米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズは3月、感染拡大を防ぐため、見知らぬ乗客同士が1台の車に乗り合わせるサービスを停止。単独利用でも不要不急の移動は控えるよう呼び掛けており、主力事業への打撃は不可避だ。同業の米リフトは従業員の17%を解雇することを決めた。
こうした中、ウーバーでは料理宅配サービスの利用が急増しており、料理に加え、市販薬やペット用品、個人の荷物などを届けるサービスを一部地域で開始した。同社は「テクノロジーを活用して企業と消費者の変化するニーズに素早く適応する」と強調する。
米民泊仲介大手エアビーアンドビーは旅行需要の蒸発を受け、民泊に代わる目玉としてビデオ通話によるオンライン体験の仲介を始めた。料理教室や音楽のレッスン、五輪出場経験者とのエクササイズのほか、日本の仏僧との瞑想(めいそう)など幅広いメニューが並ぶ。
エアビー担当幹部は「人間のつながりが事業の中核。今できる唯一の方法で機会を提供したい」と表明した。