【ソウル=豊浦潤一】聯合ニュースによると、韓国外交省の李度勲イドフン朝鮮半島平和交渉本部長が17日、ワシントンに到着した。滞在中、米政府で北朝鮮担当特別代表も務めるスティーブン・ビーガン国務副長官と協議し、「朝鮮半島の状況に関する評価と対応策を話し合う予定」(外交省)という。

 北朝鮮は、金正恩キムジョンウン朝鮮労働党委員長を批判するビラを韓国の脱北者団体が北朝鮮にまいたことへの対抗措置として、「砲兵部隊の態勢強化・軍事訓練再開」など四つの軍事行動計画を発表している。軍事衝突をどう回避するかが協議の焦点となりそうだ。

 日米韓協議筋によると「李氏は、情勢が緊迫していると訴え、対北朝鮮経済制裁の緩和を了承するよう説得する見通し」という。しかし、米国は、北朝鮮が実質的な非核化措置に応じていないため制裁緩和には応じないとみられる。

 協議筋によると「協議が不調に終わった場合、韓国は単独で対北支援を行うことを検討することになる」という。別の韓国政府関係者によると李氏は今回、こうした方針を米側に伝える可能性もあるという。

 協議筋は「単独対北支援の選択肢として、南北経済協力事業の金剛山クムガンサン観光、開城ケソン工業団地の再開、食糧支援、医療支援がある」としている。

 北朝鮮は1998年11月から2008年7月まで行われた金剛山観光で、07年には22億円相当の「入山料」を手にした。開城工業団地を通じては、04年12月の操業開始から16年2月の閉鎖までに労賃など計5億6000万ドル(約600億円)分の外貨を得た。

 国連安全保障理事会は13年3月の制裁決議で、大量の現金の北朝鮮への移転を禁じている。安保理の北朝鮮制裁委員会から例外措置の認定を受けない限り、両事業とも以前の方式での再開は困難だ。韓国は単独支援を決断しても、その方法に悩むことになりそうだ。