有力な新興企業を継続的に生み出す米シリコンバレーのような拠点構築に向け、政府が「グローバル拠点都市」として東京都、横浜市など4都市圏を選定したことが10日、分かった。13日にも発表する。
選定された都市は資金調達や事業入札での優遇措置を受けることができる。政府は設立10年以内の未上場で企業価値10億ドル以上の「ユニコーン企業」を各都市で5社以上生み出し、これで得られた資金やノウハウを活用して令和4年までにベンチャー企業への投資額を倍増。日本経済全体の成長につなげたい考えだ。
選定されたのは東京都・横浜市などに加え、名古屋市・浜松市など、大阪市・京都市・神戸市、福岡市-の4都市圏。当初は2~3都市の予定だったが、立候補が多く上積みした。
グローバル拠点都市の選定は内閣府などが進める事業。研究拠点、創業初期の企業「スタートアップ」、リスクマネーを提供するベンチャーキャピタル(VC)などが集まって好循環を生み出す「エコシステム」の形成を目指す。
大学など研究拠点の人材にノウハウを伝授するなどして育成を進め、日本政策金融公庫や民間VCからの資金調達を支援する。起業したベンチャーがユニコーン企業に育てば、資金やノウハウが将来の起業家に還元され、さらなるVCを呼び込む連鎖が期待できる。
政府がエコシステムの形成を目指すのは「日本が世界各国に追いつけなくなる」(内閣府幹部)との危機感がある。
ユニコーン企業は平成30年2月末現在で米国151社、中国82社であるのに対し、日本は1社のみ。ベンチャー投資に関しても29年の米国は約9・5兆円、中国約3・4兆円なのに対し、日本は1976億円で、欧州の8140億円にも及ばない。