スマートフォンが並ぶ家電量販店の携帯電話売り場(21日、ビックカメラ新宿西口店で)
総務省の有識者会議は21日、携帯電話の契約会社を乗り換えても同じ電話番号が使える「番号持ち運び制度」(MNP)について、利用手数料の引き下げに向けた議論を行った。今後、廃止も含めて検討する。利用者の乗り換えのハードルを下げることで各社の競争を促し、世界的にも高いとされる携帯料金の引き下げにつなげる狙いだ。
NTTドコモなどの大手や主な格安携帯の事業者は現在、乗り換えにかかるシステム関連の費用として、利用者から3000円を取っている。
この日の会議では総務省側が、〈1〉手数料の廃止〈2〉減額〈3〉現状維持――の3案を提示。米国や英国、フランスといった主要国では、乗り換え時の手数料を取らないのが一般的だと説明した。加えて、手数料収入が大手3社だけで年間約160億円に上るとの試算を示し、「適切な負担とは言いがたい」と指摘した。
有識者からも、現在の手数料の根拠について検証すべきだとの意見が出た。総務省は検討結果を夏にもまとめ、パブリックコメント(意見公募)の結果を踏まえて秋に公表する方針だ。
MNPは2006年に導入された。占有率首位のNTTドコモが米アップルのiPhone(アイフォーン)を導入した13年度には、他社からの乗り換えが相次ぎ、利用件数は657万件まで伸びた。
だが、直近の数年は3社の寡占によって伸び悩んでいる。このため、総務省は業界の反発が必至の「手数料廃止」も含めて俎上にあげたようだ。
乗り換えにかかる負担軽減を巡っては、昨年10月、契約途中の解約にかかる違約金を9500円から「上限1000円」まで大幅に引き下げ、慣例となっていた「2年縛り」を抜本的に見直した。ただ、総務省が6月公表した携帯料金の国際調査では、日本は依然として世界的に高い水準のままで、事業者間のさらなる競争を促す仕組み作りが求められていた。