ミシンに向かい、ホテイアオイ製のマスクを作る女性=4日、タイ中部アユタヤ県
ミシンに向かい、ホテイアオイ製のマスクを作る女性=4日、タイ中部アユタヤ県

 タイ中部で川や運河で異常繁殖する水草ホテイアオイを使い、新型コロナウイルスで需要が急増したマスクを作る取り組みが進められている。厄介者を有効利用して作製したマスクは評判を呼び、供給が追い付かないほどの人気を集めている。

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 タイではホテイアオイが水運や漁業の妨げとなり、自治体は駆除に多額の予算を投じている。アユタヤ県パーチー郡の非公式教育センターは2017年、除去したホテイアオイを活用した布製品などの製造に着手。新型コロナの感染が拡大すると、品不足が深刻化したマスクの生産を始めた。

 センターのナートラダー副所長(53)は「新型コロナの影響で失業した住民の生活を支える狙いもあった」と話す。マスクは1枚100バーツ(約340円)で、これまでに1万枚近くを販売。すべて手作りのため大量生産はできず、今月初めに入った8000枚の注文はやむなく断った。

 マスクはホテイアオイ製の布に裏地3枚を重ねて作製する。1枚作るのにかかる時間は20~30分。ずれないようミシンで慎重に縫い合わせていた地元の女性イウさん(61)は「空き時間を利用して収入を得られるのでありがたい」と語った。

 センターはホテイアオイ製の服や皿をはじめとするさまざまな商品を開発してきた。ハムスターなど小動物用の籠に敷く床材は日本に輸出している。ナートラダー副所長は「ホテイアオイはごみではない。利益を生み出す宝だ」と強調した。