[ニューヨーク 14日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場でドルが下落した。新型コロナウイルス対策により経済が米国をアウトパフォームしている国の通貨が注目された。ドルは週間で8週連続安となった。 

米国の新型コロナ追加対策を巡る政権と民主党指導部との合意が遅れていることもドルの重しとなった。 

リフィニティブのデータによると、ドルの8週連続安は2010年6月以降で最長。この日は複数の経済指標が発表されたが、ドルの押し上げにはつながらなかった。 

マネックス・ヨーロッパ(ロンドン)の市場分析部門責任者、ランコー・ビリッチ氏は「米国では新型コロナ感染者が増加しているため、抑制措置が長期化する見込み」と指摘。「人々の行動が長期にわたり妨げられ、他の先進国に比べ米国の経済回復は鈍化するだろう」と述べた。 

米国で確認された新型コロナ感染者は累計で501万人。死者は16万人を超え、世界最多となっている。 

米国では上下両院が休会中で、新型コロナ追加対策を巡る協議の再開めどは立っておらず、この日は追加対策への期待が後退した。 

トランプ大統領が、再び単独で景気支援に向けた行動を取る用意があると表明。自身が講じる新たな措置には支援金の直接給付や小規模企業や州・地方政府への支援が含まれる見通しとしたが、市場への影響は限定的だった。 

午後の取引で、ドル指数=USDは0.1%安の93.124。 

米商務省が14日発表した7月の小売売上高は、前月比1.2%増と6月から大きく減速し、市場予想の1.9%増も下回った。8月のミシガン大消費者信頼感指数や7月の鉱工業生産なども発表されたが、ドルへの影響は限られた。 

ドルは対円JPY=EBSで0.3%安の106.60円。ただ、週間の上昇率は2カ月ぶりの大きさだった。 

一方、ユーロ/ドルEUR=EBSは上昇継続。0.2%高の1.1835ドルとなり、週間では8週連続高となった。欧州の経済回復への信頼が高まる一方、米国の新型コロナ対応を巡る懸念が広がっていることがユーロ/ドルの上昇につながっている。 

テンパス(ワシントン)のトレーディング部バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏は「ユーロ/ドルは先週1.19ドル台に乗せたが、その後は上回っていない。市場で見込まれていたドル崩壊もまだ起きておらず、ドル安の背景にある大きなモメンタムが幾分鈍化しているかもしれない」と述べた。 

今週はニュージーランドドルNZD=D3が最も下落。対米ドルで0.8%安と、6月中旬以来の値下がりだった。 

ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は12日、政策金利を据え置く一方、大規模資産買い入れ(LSAP)プログラムを拡大すると発表。マイナス金利導入の可能性も示唆した。 

ドル/円 
 NY終値 106.59/106.62 
   始値 106.68 
   高値 106.71 
   安値 106.45 

ユーロ/ドル 
 NY終値 1.1841/1.1844 
   始値 1.1807 
   高値 1.1850 
   安値 1.1807