新型コロナウイルス対策として7月中旬以降、厳しい外出制限などのロックダウン(都市封鎖)を続けてきた中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市は8月29日から、規制措置を緩和した。約40日間の「封鎖」が続いたウルムチでは、市民らがネット交流サービス(SNS)上で不満を爆発させ、それに対して当局側が投稿を控えるよう市民に呼びかける騒ぎになっていた。
ウルムチ市民によるとみられるSNSの投稿では、封鎖のため出産間近の妊婦やプラスチック玩具を誤飲した子供も病院に行けず、野菜やトイレットペーパーなど生活必需品も買えないといった不満が相次いだ。日本の町内会に近い「社区」単位で厳しい外出制限措置を取ったため、社区の担当者によって効果不明の漢方薬を飲まされたり、無断で外出したために体罰を受けたりしたといった書き込みもあった。
政府批判を含む書き込みもあり、不満の高まりを受けてウルムチ市は24日に、市長をはじめとする市幹部の携帯番号を公開し、「各種の困難な状況を直接連絡してほしい」と呼びかけた。しかし、ネット上ではこれにも「封鎖1カ月過ぎて、やっとこれか」「遅すぎる」との反発が出ていた。
ウルムチ市では7月下旬に1日100人前後の感染者が見つかったが、8月中旬以降は「ゼロ」が続いていた。地域単位の徹底した封鎖は、中国式コロナ対策の特徴の一つだが、市民が日々の生活で被る「犠牲」も小さくないようだ。【北京・米村耕一】