[ニューヨーク 10日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、ユーロが対ドルで1週間ぶり高値を付けた。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が、ECBは為替レートを注視しているものの、金融政策の手段ではないと発言したことを受けた。
こうした発言は、最近のユーロ高にもかかわらず、ECBがユーロ下落につながる措置を取る可能性が低いことを示唆しており、ユーロ上昇の材料になった。
ユーロEUR=EBSは1週間ぶり水準の1.1917ドルまで上げ、終盤は0.2%高の1.1825ドル。年初来高値は1.2014ドル。今年はここまで約6%上昇している。
ただ、ユーロ高はユーロ圏のような輸出依存型経済には打撃になり、為替が金融政策にとって重要な問題だと発言したレーン専務理事兼主任エコノミストなど、一部当局者から懸念の声も上がっている。
ラガルド総裁は理事会後の会見で、ECBはユーロを注意深く見守っているとしながらも「為替レートを目標にしているわけではない」と強調した。
ラガルド氏の会見直前、ブルームバーグがユーロ高に過剰反応する必要はないという関係筋の話を報道。トレーダーは、この報道がユーロ上昇につながったと述べた。
プリンシパル・グローバル・インベストメンツのチーフストラテジスト、シーマ・シャー氏は「ECBがユーロ高への対応で実際には打つ手がほとんどないことを市場は見抜いている。金利はほぼ限りなく低く、種々の資産購入・融資プログラムはすでに相当な規模に膨らんでいる」と述べた。
終盤のドル指数=USDは0.1%安の93.345。前日は4週ぶりの高値を付ける場面もあった。
米労働省がこの日に発表した9月5日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は88万4000件と、前週から横ばいにとどまり、新型コロナウイルス禍からの回復が一段と緩やかになっている状況が浮き彫りになった。市場予想は84万6000件だった。
また、米労働省が発表した8月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.3%上昇と、市場予想の0.2%上昇をやや上回った。サービスが底堅く伸びた。
ドルは対円JPY=EBSで0.1%安の106.09円。英ポンドGBP=D3は対ドルで7週ぶり安値の1.2777ドルまで下落。欧州連合(EU)との通商交渉の混迷が重しとなった。終盤は1.7%安の1.2783ドル。
ドル/円
NY終値 106.13/106.14
始値 106.07
高値 106.23
安値 105.99
ユーロ/ドル
NY終値 1.1813/1.1817
始値 1.1836
高値 1.1916
安値 1.1811