[ニューヨーク 22日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルが上昇し、対ユーロでは8週ぶり高値を付けた。シカゴ地区連銀のエバンズ総裁による利上げや量的緩和を巡る発言がタカ派的と受け取られた。
エバンズ総裁は平均して2%のインフレ率を目指す新たな目標について、FRBは議論を詰める必要があるとしつつも、「平均2%になる前に利上げすることは可能」との認識を示した。また、追加量的緩和が米経済の一段の押し上げにはつながらない可能性があると指摘した。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのマクロストラテジスト、エリック・ネルソン氏は「FRBがここ数カ月、予見可能な将来に利上げはないという認識を示していただけに、市場はエバンズ氏の発言に不意を突かれる格好となった」と述べた。
OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏も「極めてタカ派」と指摘。「コロナ禍が終息すれば、利上げが実施されるとの見通しは、一段のドル回復への追い風となるだろう」と予想した。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこの日、下院金融サービス委員会で証言し、米経済がコロナ禍が引き起こしたリセッション(景気後退)から「著しい回復」を示しているものの、見通しにはかなりの不透明性が存在するため、FRBは必要に応じ一段の措置を講じると表明した。
また、議会で18日に死去したルース・ギンズバーグ最高裁判事の後任人事に焦点が当てられる中、政権と野党民主党がコロナ経済対策で合意する確率が低下することが懸念される。
前出のWファーゴのネルソン氏は「ネガティブな見出しが相次ぐ状況となっており、その影響は金融市場に波及し始めている」と述べた。
終盤の取引で、ドル指数=USDは0.39%高の93.935。一時、7月終盤以来の高値となる94.086を付けた。
ユーロ/ドルEUR=EBSは0.5%安の1.1708ドル。ユーロは一時、節目となる1.17ドルを下抜け、7月以来の安値を付けた。
欧州の一部で新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた制限措置が再導入されたことを受け、ドルはエバンズ総裁の発言前、すでに上昇していた。
ポンド/ドルは約2カ月ぶり安値。ジョンソン英首相は、コロナ感染が再び急拡大していることを踏まえ、レストランやパブなどの営業時間を制限する方針を示し、国民に対し可能な限り在宅勤務をするよう要請した。新たな制限は向こう6カ月維持される見通し。
ドル/円JPY=EBSは0.285%高の104.93円。
ドル/円
NY終値 104.91/104.94
始値 104.43
高値 105.07
安値 104.45
ユーロ/ドル
NY終値 1.1706/1.1710
始値 1.1760
高値 1.1761
安値 1.1693