菅義偉首相は5日、首相官邸で内閣記者会のインタビューに応じ、日本学術会議の会員候補105人のうち6人の任命を拒否したことは適法との見解を重ねて示した。その上で「(退任する)会員が後任を指名することが可能な仕組みだ。推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲して良いのか考えた」と説明した。
首相がこの問題で一定の時間を割いて説明するのは初めて。野党は反発を強めており、26日召集予定の臨時国会で厳しい追及を受けるのは確実だ。
6人は安倍政権が進めた安全保障関連法や特定秘密保護法の制定に反対してきた。首相は6人の見解と任命拒否の判断は「全く関係ない」と断言。ただ、判断の具体的な理由については明らかにしなかった。「(憲法で保障される)学問の自由とは全く関係ない」とも明言した。
また、「それぞれの時代の制度の中で法律に基づいて任命を行っているという考え方は変わっていない」と強調。関係法令に照らして問題はないとの認識を示した。
さらに、過去の省庁再編論議の際に日本学術会議の必要性や在り方が議論されてきたと指摘。「(会議の)総合的、俯瞰(ふかん)的活動を確保する観点から今回の任命について判断した」とし、「今後も丁寧に説明していきたい」と述べた。