[7日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)が7日に公表した9月15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、FRBが8月に示した新戦略の適用方法を巡り、当局者の間で見解の相違があったことが分かった。
議事要旨は、新戦略の実施に向け「大部分の参加者が、より明確で、結果に基づくフェデラルファンド(FF)金利のガイダンスを提供することに支持を示した」とした。
ただ、「一段の明確性の提供を巡る広範な案件が討議された」とし、一部当局者がインフレ率の2%を上回る水準への上昇に向け強い確約を主張したのに対し、そのような確約は現時点ではほとんど効果がないとの見解も示された。
さまざまな意見が出たことは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がもたらした景気後退(リセッション)からの持ち直しに向けてFRBが直面する先行き不透明感を反映している。
一部の当局者は、追加の債券買い入れ計画について、より具体的な内容を提示することが「今後の会合で適切になる」と述べた。現在は月1200億ドルのペースで買い入れている。
経済の先行き不透明感についても協議した。「大半」の当局者が、米国が直面する問題の大きさを踏まえると財政出動は不十分だと懸念を示した。
FRBは9月のFOMCで、FF金利の誘導目標を2023年末まで0─0.25%に据え置く可能性があることを表明。ゼロ金利を解除するには、インフレ率が2%に達し、一定期間2%をやや超えるまで待つ意向を示した。
パウエルFRB議長は6日、米経済見通しは「非常に不透明」と警告。支援が少なすぎると破産する家計や企業が増え、軟調な回復の悪循環に陥る「景気後退のダイナミクス」が働くと指摘した。
FRB当局者の見解は大きく分かれている。セントルイス地区連銀のブラード総裁は米経済が年末までにほぼ完全に回復するとの見通しを表明。対照的に、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は、新型コロナ感染の第2波が今年の秋と冬に訪れて回復が遅れ、信用収縮に直面すると指摘している。
11月3日の大統領選まで残り数週間となる中、経済がどのように展開するかによって当選した大統領の政策環境は大きく異なるとみられる。
9月の政策決定については、不必要に政策手段の自由度を奪うと指摘したダラス地区連銀のカプラン総裁と、今後の利上げ基準をさらに厳しくすることを主張したミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁の2人が反対票を投じた。