[ワシントン 13日 ロイター] – 国際通貨基金(IMF)は13日、2020年の世界経済見通しをマイナス4.4%とし、6月に示したマイナス5.2%から上方修正した。先進国や中国が新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)から予想よりも速いペースで回復していると指摘した。
しかし、景気減速による失業や破綻、債務などに伴う20─25年の経済損失が最大28兆ドルに達する可能性があり、21年以降の世界の中期成長率は3.5%近辺にとどまる恐れがあるとの認識を示した。
21年の世界経済見通しはプラス5.2%と予測。しかし、多くの新興国の見通しが悪化しているほか、コロナ感染拡大が続く中、経済再開ペースは失速していると警告し、6月時点から0.2ポイント下方修正した。
IMFのチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は、世界各国政府による12兆ドル規模の財政出動や中銀の金融緩和措置がコロナ禍に伴う打撃を和らげたとし、支援の継続が必要と主張。「コロナ禍を巡る状況が悪化し、治療やワクチン開発の可能性が後退すれば、経済活動が被る損害は厳しいものになり、深刻な金融市場の混乱によって増幅される公算が大きい」との見通しを示した。
さらに、より速いペースで回復に向かっている主要国や中国と、低所得国の格差に警鐘を鳴らした。
国・地域別の見通しについて、IMFは今年の米国内総生産(GDP)を4.3%減と予測。6月時点の8%減から大幅に上方修正した。一方で21年については、追加コロナ経済対策が実施されないとの見通しの下、3.1%増に下方修正した。
日本については今年が5.3%減、来年は2.3%のプラス成長を予測した。
ユーロ圏は今年が8.3%減と、6月時点の10.2%減から上方修正。しかし、域内の回復ペースの格差を反映し、ドイツは6%減、スペインは12.8%減とそれぞれ予測した。21年のユーロ圏GDPは5.2%増と予測した。
今年唯一プラス成長が予想されているのは中国で、1.9%増を見込む。来年は8.2%増と、約10年ぶりの成長率達成を予測した。
しかし、中国を除く新興国の今年の成長率はマイナス5.7%と、6月時点のマイナス5%から下方修正した。