27日、総務省は「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を発表した。同日午前の武田良太総務大臣による会見で、その意義を語った。アクション・プランの内容は、大手3キャリアの現行料金プランに対して直接的な値下げを求めるものではなく、サブブランドや、格安スマホなどと呼ばれるMVNOのサービスへ乗り換えやすくするための取り組みとなった。 

3つの柱

 武田大臣は、9月の就任以来、「国民、ユーザーにとってわかりやすく、納得感のある料金サービスの実現に向けて、先頭に立って取り組んできた」と述べ、アクションプランの概要を紹介。 

 「料金」「競争促進」「乗り換えの円滑化」を3本柱とし、たとえば料金関連ではユーザーの理解を助けるため、年内にポータルサイトを構築する方針であるほか、「周波数の有効利用の促進」などを進めると説明した。 

 アクション・プランの説明の締めくくりで、武田大臣は、今後の電波(周波数)の割り当てにおいて、携帯各社の取り組みについて検証する、とも述べ、各社に釘を刺した。 

MNP、キャリアメール

 MNPにかかる手数料は、原則0円にする(競争ルールの検証報告書ではWeb無料、店頭1000円以下)と武田大臣は説明する。 

 またeSIMも、乗り換え促進のため、「SIMカードを差し替えることなくオンラインで乗り換えられるeSIMの促進の導入も検討を進める」とした。 

 さらにキャリアメールの持ち運びについても実現に向けた検討を進める。 

料金値下がりは?

 家庭における負担の軽減にどの程度、アクション・プランが寄与するのか? という問いに武田大臣は、MVNO・サブブランドへ乗り換えやすくする施策で効果が生まれると説明する。 

武田大臣 

「今回、問題を提起することで、いろいろな方が、自らの携帯電話料金の状態はどうか、見直すきっかけになったと思う。中容量プランについては、これまでもサブブランド、MVNOなどのサービスが選択肢として存在していた。しかし複雑な手続きやペナルティ、さまざまなルールがあり、自由な選択が阻害されていた。ここが大きな問題のひとつだった。ユーザーが自由に、安い事業者へ乗り換えられる環境を作ることができれば、相当な効果があったと言える」 

 また武田大臣は、2018年9月時点と比較して、大手3キャリアの一部プランが3割程度、値下げされていたことは事実、とした上で、「日本社会全てが本気でモバイル市場を見つめていなかったのではないか。それに対して、問題提起をして、多くの国民が携帯電話に対する考え方をあらためて考え直した。良いきっかけになったのではないか」とこれまでの取り組みを評価した。 

 具体的な時期、値下げの水準などを政府として掲げることは「あるべきではない」(武田大臣)として、料金が合理的な水準に達するための環境を整備することが職務とした。