[パリ/東京/ワシントン 13日 ロイター] – 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は13日、先にパリクラブ(主要債権国会議)と合意した、新型コロナウイルス禍で債務返済に苦しむ最貧国を対象とした債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)を超える債務措置が必要だとした上で、減免などに関する新たな共通枠組みを承認した。

声明では「DSSI適格国に対する適時かつ秩序立った債務措置を、民間セクターを含む幅広い債権者の参加を得た形で実施する」と表明した。

麻生太郎財務相は、今回の合意を「歴史的」と評価。中国がこれまで民間としていた政府系金融機関などを含めて合意したことが「最大の成果だ」とし、今後は全ての関係者が債務措置を確実に実施しなければならないと強調した。

枠組みでは、債務国に対して債権を有する全ての公的な二国間債権者が、当該国に対する債務措置に参加。国際通貨基金(IMF)支援プログラム期間中の名目債務支払額の変更や、必要に応じた割引現在価値での債務削減、措置対象の債権の償還期間の延長などを行う。

さらに、全ての公的な二国間債権者が公平に負担するほか、民間債権者による債務措置が公的な二国間債権者による債務措置と少なくとも同程度となることを確保する。

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、枠組みを歴史的な偉業と評価した上で、民間部門の参加を拡大して債務を維持できない場合の解決を加速させるべきと強調。資金不足額はアフリカ諸国だけで2023年までに3450億ドルに達するとし、「危機は終わっていない。債務救済や新たな資金調達を通じてさらなる支援が必要だ」と訴えた。

ある米財務省の高官は、米国が債務措置の対象を最貧国ばかりでなく、中所得国にも拡大する用意があると指摘。また、中国やインド、トルコなどの債権国が初めて協調的な債務措置に参加することになるが、中国はこれまで制度の抜け穴を悪用しており、同国の債務措置の実施状況を注視していると述べた。

米当局者によると、中国の総貸付額は推計で3500億ドルから1兆ドル超に上るという。

貧困撲滅を目指す慈善団体ジュビリー・デット・キャンペーンの政策担当責任者、ティム・ジョーンズ氏は声明で、G20は完全な債務帳消しを認めたが、奨励していない上、民間部門を強制的に参加させる仕組みを作ったわけではないと指摘。「今回の発表は貧困国の債務危機への対応に必要な措置とは程遠い」とした。

非営利団体のジュビリーUSAネットワークのエグゼクティブ・ディレクター、エリック・レコンテ氏は、民間部門を含めたことは大きな一歩だが、「残念ながら、危機によって貧困が最も広がるとみられる中所得国が含まれていない」と批判した。

新たな共通枠組みは来週バーチャル形式で開催されるG20首脳会議で承認される予定。