[クアラルンプール 20日 ロイター] – 日本と米国、中国など21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が20日、バーチャル形式で開催され、3年ぶりに首脳宣言を採択した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって打撃を受けた世界経済の支援に向け、自由かつ予測可能な貿易を求め、保護主義的な貿易政策は行わないことで一致した。
首脳会議にはトランプ米大統領や中国の習近平国家主席のほか、日本からは菅義偉首相が参加した。
議長国マレーシアのムヒディン首相は会議後の会見で「(米中)貿易戦争の影響は、新型コロナのパンデミックによって打ち消されている」と指摘。「APECは市場と国境を開かれた状態に保つために、後戻りせず保護主義的な措置に頼らないことを確約した」と述べた。
首脳宣言によると、各国首脳は危機下での成長促進において、自由かつ公正で差別がなく透明性と予測可能性を備えた開かれた貿易・投資環境の重要性を確認した。
APEC首脳会議を巡っては、2018年には米中の貿易・投資を巡る対立の影響で合意に至らず、19年は議長国チリでの抗議デモのため中止されていた。
関係者によると、トランプ大統領は会議中に「議論を引き起こすような」発言をせず、主に国内問題や4年間の任期中の功績について語ったという。
米ホワイトハウスは声明で、トランプ大統領は「力強い経済回復を通したアジア太平洋地域の平和と繁栄の追求に向けた米国のコミットメントを改めて表明した」とし、トランプ大統領とAPEC首脳は、 向こう20年にわたり自由で公平な貿易を主な議題とする「APECプトラジャヤ・ビジョン2040」を承認したと述べた。
一方、習主席は自由で開かれた貿易・投資や多国間主義への支持を呼び掛けたほか、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への署名を「前向きに検討する」とした。