東京都は新型コロナウイルス対策本部会議を開き、23区と多摩地域にある酒を提供する飲食店とカラオケ店に対し、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請することを決めました。期間は、今週土曜日、今月28日から来月17日までの20日間で、全面的に応じた事業者には、一律で40万円の協力金を支給します。

都は、25日午後4時前から対策本部会議を開き、感染拡大防止に向けた対策について協議しました。

その結果、23区と多摩地域にある酒を提供する飲食店とカラオケ店に対し、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請することを決めました。

期間は今週土曜日、今月28日から来月17日までの20日間で、全面的に応じた事業者には、一律で40万円の協力金を支給します。

また、外食需要を喚起する「Go Toイート」について、今月27日から来月17日までの3週間、プレミアム付き食事券の新規発行の一時停止や、すでに発行された食事券とポイントの利用を控える呼びかけを行うよう、政府に要請する方針を確認しました。

小池知事は「これ以上の感染拡大を食い止めるため、都民には、できるだけ外出を控えていただき、外出する場合には感染予防対策を万全にしていただきたい」と呼びかけました。

都は、こうした呼びかけに伴い、都民の都内での旅行に対する都の補助事業は、営業時間の短縮を要請する期間の旅行の新たな販売を停止することを決めました。

ただ、すでに予約済みの旅行は補助するということです。

加藤官房長官「地域の実態踏まえた対応を」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「営業時間の短縮要請については都道府県が、効果的に要請し、協力金の支給などを行う場合は地方創生臨時交付金を追加配分することを菅総理大臣からも表明しており、それぞれの地域が、地域の実態を踏まえた対応をとっていただく環境を引き続き作っていきたい」と述べました。

一方、東京を目的地とする旅行を「Go Toトラベル」の対象から除外するかどうかについて、加藤官房長官は、東京23区の感染状況は、札幌市や大阪市の水準と一定の差もあると指摘しました。

そのうえで「全国知事会の緊急提言でも、国と協力して、各都道府県が、地域の感染状況を『ステージ3』相当と判断した場合には、対象地域から除外するなど、機動的な対応を行うとされているが、現時点で、東京都で、『ステージ3』相当と判断したとは承知していない」と述べました。

都が行った過去の時短要請は

東京都は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むための対策として、これまでにも飲食店に対して営業時間の短縮を要請してきました。

緊急事態宣言が出されていたことし4月には、施設の使用停止やイベントの開催の見合わせを要請したのに加えて、飲食店などに対しては、営業時間を午後8時まで、酒の提供は午後7時までとするよう求めました。

この要請は、5月25日に東京を対象とした緊急事態宣言が解除された後、段階的に緩和され、6月19日に全面的に解除されました。

そして、夏に再び感染が広がった時は、接待を伴う飲食店や会食の場などで感染が広がったことをうけて、8月3日から酒を提供する飲食店に対し、営業時間を午後10時までに短縮するよう要請しました。

その後、8月31日で、多摩地域は解除する一方、23区は9月15日まで要請を延長しました。

都は、要請の実効性を高めるために応じた事業者には協力金を支給しました。

都内の飲食店からは落胆の声

東京都が飲食店などへの営業時間の短縮を要請することについて、東京 渋谷区の飲食店からは年末の繁忙期に向けて人手を増やして準備していただけに大幅な売り上げの減少になると落胆の声が聞かれました。

このうち、東京 渋谷でたこ焼きなどを提供する居酒屋「くれおーる」の大野克司営業統括部長は「新型コロナウイルスの感染拡大は防がないといけないことは理解している。これまでの2度の時短要請は致し方ないと受け止めたが、またかという気持ちでなかなか素直に受け入れられない気持ちだ」と複雑な様子でした。

店では座席数を通常の7割程度まで減らして客どうしの間隔を空けたり窓を開けっ放しにして換気をしたりして感染予防の対策を行ってきました。

さらに、道路上に席を設けて営業できる商店街の「ストリートテラス」という取り組みにも参加していわゆる「3密」にならないよう工夫を続けて営業してきました。

先月には、売り上げも去年の8割程度まで回復し、来月からはさらに売り上げが伸びることを見込んで人手を増やそうと深夜帯も働けるパート従業員を採用して研修を始めたばかりだったということです。

そのやさきの営業時間の短縮要請について、大野営業統括部長は「12月は飲食店にとっては繁忙期で、時短になれば売り上げの大幅な減少になる。繁忙期に向けてパート従業員を採用したところだったので、どうしたらいいものか」と話していました。

一方、都が「Go Toトラベル」の一時停止を直ちに国に要請する状況にはないとしていることについて、大野営業統括部長は「『Go Toトラベル』で観光地に大勢の人がいるのを見ると、われわれ飲食店に営業時間の時短要請を求めるだけで効果があるのか、なんともやるせない気持ちになる」と話していました。

埼玉 大野知事「営業時間短縮求めず」

東京都が23区と多摩地域にある酒を提供する飲食店などに対して、営業時間の短縮を要請することについて、埼玉県の大野知事は25日夕方、「夜の街や飲食、会食で感染した方々は、絶対数では増えているが割合としては増えていない」と述べ、現時点では県内の飲食店などに、営業時間の短縮を求める考えはないという認識を示しました。

そのうえで今後の対応については、「『Go Toイート』のように、会食などによるリスクを促進してしまうような事業はいったん立ち止まりたい。その結果をまずは見たい」と述べ、24日決めた新たなプレミアム付き食事券の、販売の一時停止などの効果を見てから、営業時間の短縮の要請などが必要かどうか検討する考えを示しました。