• 高齢者への効果分析にはさらなるデータ必要、十分な感染例得られず
  • 査読済み分析結果が医学誌ランセットに掲載された

アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルス感染症(COVID19)のワクチンで重症化を防ぐ効果が示されたことが、査読済みの分析結果で明らかになった。ただ、高齢者にどの程度効果があるかを見極めるには、さらなる分析が必要になる。

  分析結果は8日発行の医学誌ランセットに掲載され、同ワクチンが最悪の症状を防ぐことを示した。高齢者のグループに関しては、十分な数の感染症例が得られなかったため効果を評価することはできなかった。

  オックスフォード大の治験を率いるアンドルー・ポラード教授は、高齢の治験者は若年層より後に集められたため時間が足りず、「有効性のシグナルを測定するには不十分だった」と説明。その上で、「免疫反応に関してこれまで得られたエビデンス(科学的根拠)からは、全ての年齢層で同様のレベルでの予防効果を発揮する可能性が高いことが十分示唆される」と加えた。

  この分析結果が明らかになったのと同じ日、英国では米ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発したワクチンの市民への投与が開始された。

新型コロナワクチン、英国で市民に投与開始-欧米の先陣切る

  アストラとオックスフォード大のワクチンは、ファイザーとビオンテックおよびモデルナのワクチンに比べて有効性は低く見えるが、より安価かつ取り扱いの容易さで広範への配布が期待されている。今回のランセット誌の報告は、主要ワクチンの中で初めての査読済みデータとなる。

  アストラとオックスフォード大の先月の発表では、初回接種で半量、2回目に全量を投与された比較的少数の被験者群で有効性が90%となった。一方、2回とも全量だったグループでは62%だった。アストラのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は先月のインタビューで、90%の結果を検証するための追加試験を世界各地で行う公算が大きいと述べていた。

  同社は8日、追加試験を実施するかどうかは未定だと説明。一方でポラード教授は、現時点で英国では追加試験の計画はないと話した。

  規制当局がどのような投与を推奨するとみられるかとの質問に対し、同教授は「どちらの投与形態かについては、彼らが具体的に決めるだろう」と指摘。「ワクチンが承認されれば、それをどう使うかは政策立案者次第だ」と語った。

原題:Astra Vaccine Found Effective Amid Questions on Older People (2)(抜粋)