軍によるクーデターへの抗議活動が連日続くミャンマーでは、デモに参加していて銃撃され、意識不明となっていた女性が19日、死亡しました。女性の家族は、抗議活動へのさらなる参加を呼びかけており、デモの拡大も予想されます。

ミャンマーの首都ネピドーで今月9日、軍に反対するデモに参加していた20歳の女性が頭を撃たれ、意識不明の重体となっていましたが、19日、死亡しました。

デモの参加者の死亡が確認されるのは初めてです。

女性の姉は19日、記者団に対し「軍に勝利するまでデモに参加してください」と述べ、抗議活動へのさらなる参加を呼びかけました。

抗議デモは、19日も数万人が参加して各地で行われ、最大都市ヤンゴンのデモの現場では、市民が亡くなった女性の写真のそばに花を手向け死を悼んでいました。

デモの参加者の男性は「すべての国民が悲しんでいる。軍は市民に暴力を振るっているが、私たちは、亡くなった女性や民主化のために闘い続けなければならない」と話していました。

地元メディアは、女性が銃撃を受けた当時、警官隊はデモ隊に向かって発砲していたと伝えていて、今後、デモが拡大することも予想されます。

ミャンマー軍司令官 「隣国との関係を強化」

一方、クーデターを実行したミャンマー軍のトップは、隣国との関係を強化する考えを示し、専門家は、アメリカやイギリスなどがクーデターを批判し制裁に踏み切るなか、こうした動きが周辺諸国に及ぶのを防ぎたい思惑があると分析しています。

ミン・アウン・フライン司令官は18日、外交政策を話し合う会議に出席し「わが国はバングラデシュやインド、中国、ラオス、タイと継続的で平和的な関係を築かなければならない。特に隣国との関係を優先していきたい」と述べました。

そのうえで「外国から、特に隣国からの投資を歓迎する」と述べ、隣国との関係を強化する考えを示しました。

これについて、ミャンマーの近現代史が専門の上智大学の根本敬教授は「国境を接している国々は、ミャンマーの内政問題には口を出さず、静観している。今後も口を出さないでほしいというメッセージと読み取れる」と述べ、ミャンマー情勢を巡り、アメリカやイギリスなどがクーデターを批判し制裁に踏み切るなか、こうした動きが周辺諸国に及ぶのを防ぎたい思惑があると分析しています。

米国務省 報道官が哀悼の意

アメリカ国務省のプライス報道官は19日の電話会見で「悲しみに暮れている。われわれは女性の家族と、ミャンマーでの平和的な抗議デモに参加している最中に負傷したすべての人々に哀悼の意を示す」と述べました。

そのうえで「ミャンマーの市民に対するあらゆる暴力を非難するとともに、ミャンマー軍には平和的な抗議デモの参加者に対する暴力を停止することを改めて求める」と述べました。

また、プライス報道官はアメリカに続く形で、イギリスとカナダが18日にミャンマー軍の幹部に制裁を科したことを高く評価しました。

そして「われわれは同盟国や友好国と協力して、ミャンマー軍に行動を変えさせるための圧力をかけ、人々が求める平和と民主主義、法の支配の実現を支援する」と述べ、今後も同盟国や友好国と連携して圧力を強める方針を強調しました。