- 再エネのコストは低減、原発は「フェードアウト」-自民・秋本氏
- 菅首相に続き次期首相候補の河野行革相、小泉環境相も再エネ推進派
菅義偉政権が掲げる2050年の脱炭素社会実現に向け、首相に近い自民党の秋本真利衆院議員が原子力発電は不要だと主張している。事故の危険性に加えて再生可能エネルギーの価格低下でコスト面のメリットもなくなるのが理由だ。党内では主流の意見ではないが、将来的には理解を得られるとみている。
秋本氏はインタビューで、脱炭素目標の達成には持続可能性と経済合理性が不可欠だが、「原発を中心とする大規模集中電源にはコスト的な優位点は全くない」と話す。再生可能エネルギーの発電コストが低減し導入が進む一方、原発は新増設や建て替えに多大な費用を要することから「フェードアウトしていく」との見通しを示す。
秋本氏は菅首相を支える無派閥の若手・中堅議員グループのメンバー。脱原発の主張は今は党内で少数派だが、いずれ主流になる時が来ると考える。昨年12月に出版した脱原発を訴える著書の帯には、河野太郎行政改革担当相が「俺よりすごい、自民党一の『脱原発』男だ」とコメントを寄せた。
次期首相候補として名前があがる河野氏と小泉進次郎環境相はいずれも再エネ推進派として知られる。秋本氏は「菅首相がまず火をともして、その火を大きくしていくのがあの2人ではないか。より火が大きくなるようにサポートしていきたい」と述べた。
菅首相が50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「脱炭素宣言」に踏み切ったことを受け、自民党内では原発の新増設や建て替えを求める動きが出ている。東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長も、同社の二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標を達成するには、原発の再稼働が不可欠との認識だ。
党再生可能エネルギー普及拡大議連の事務局長を務める秋本氏は、首相が官房長官時代から再エネに関する議論を重ねてきた。首相の姿勢は「原発推進派ではない」と断言する。政府が今夏にもまとめるエネルギー基本計画には、50年の脱炭素社会実現に向けて、30年、40年時点の明確な温室効果ガス排出量の削減目標を掲げ、政権の「本気度」を示すべきだと強調した。