【ワシントン、北京時事】米アラスカ州アンカレジで行われていた米中外交トップによる初の直接会談は19日、2日間の日程を終えた。米中の主張は、香港の統制強化や新疆ウイグル自治区での人権侵害をはじめとする主要議題をめぐり平行線をたどり、対立が鮮明になった。

 ただ、双方は、気候変動問題など利益が重複する分野で協力を模索していく姿勢を確認。貿易問題では、実質的議論を先送りした。バイデン政権は会談結果を踏まえ、同盟国と協議しながら対中戦略の策定を急ぐ方針だ。

 サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は会談後、記者団に「困難かつ率直な協議だった」と説明。ブリンケン国務長官は、新疆や香港、チベット自治区、台湾、サイバー空間に関し、中国の行動に対する懸念を伝達したと強調し、これらの問題で双方は「根本的に相いれない」と認めた。ブリンケン氏はまた、同盟国や友好国の懸念も伝えたと明かしており、沖縄県・尖閣諸島沖への中国公船侵入にも言及したとみられる。

 一方で、ブリンケン氏は「イラン、北朝鮮、アフガニスタン、気候変動について、われわれの利害は重なっている」と訴え、協力の可能性を示唆した。中国国営新華社通信によると、米中は気候変動をめぐり共同作業グループを設置する。両国はまた、対話と意思疎通の維持、互いに利益となる協力の推進、誤判断の防止や衝突の回避などで合意したという。