[ワシントン 23日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、イエレン財務長官と共に下院金融サービス委員会で証言を行い、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の物価上昇が手に負えなくなり、破壊的なインフレの発生につながることはないとの見解を示した。
委員会ではメンバー数人が物価上昇に懸念を表明。これに対しパウエル議長は「今年はインフレが上向いていくと予想している」としたものの「特に大きな上昇にも、根強い上昇にもならない」とし、問題になった場合は「FRBに対応する手段がある」と述べた。
米経済については、冒頭発言で「回復は一般的に予想されていたよりも速く進み、力強さを増しているように見える」と述べた。
公聴会では、バイデン政権が検討しているとされるインフラ投資と増税なども議題に取り上げられた。イエレン財務長官は、インフラ投資は米経済の競争力と生産性の向上に貢献する分野に目標を絞って実施されるとした上で、資金を賄うために歳入増を図る必要があると指摘。
「バイデン政権は中小企業のほか、国民を阻害するような政策は提案しない」と述べ、米経済はなお新型コロナウイルス感染拡大による危機下にあるとの認識を示しながらも、新たな公共投資の財源確保に向けた将来的な増税計画に理解を求めた。
危機の中にありながらも、増税を検討できるほどに経済が健全であるとどうして言えるのかとの質問に対し、パンデミックで多くの職が失われ「失業という大問題」に直面しているとしながらも、「経済が再び力強さを取り戻した後、バイデン大統領はインフラ、気候変動リスクへの対応、人的資源への投資、研究開発(R&D)、製造業などを巡る長期的な投資不足への対応を提案する公算が大きい」とし、「財源確保は必要だ」と述べた。
公聴会に先立ち公表された証言原稿で、イエレン氏は楽観的な見通しを表明。米国は新型コロナの流行を克服できると確信していると述べたほか、経済は成長し、来年には完全雇用を達成できる可能性があるとの見方を示した。
イエレン氏は、FRBが利上げに着手する前に保有国債の償還期限の長期化を図るかとの質問に対し、「財務省はこの件について検証しているが、実際にそのようにする計画は現時点ではない」と述べた。
パウエル議長とイエレン財務長官は24日に上院銀行委員会で証言を行う。