バイデン米大統領は25日、米ホワイトハウスで就任後初めてとなる記者会見を開いた。バイデン氏は、中国国内の人権弾圧問題などを指摘したうえで、米中対立について「21世紀における民主主義国家と専制主義国家の有用性をめぐる闘い」と表現。バイデン氏は国家理念を旗印に、体制間による競争を鮮明にした。

 バイデン氏は会見で、中国の習近平(シーチンピン)国家主席について「専制主義が将来、主流となり、民主主義は機能しないと考える人物」と指摘。2月10日に2時間にわたって行われた米中首脳の電話協議の中身にも触れ、習氏に「我々は対決を望んでいないが、(米中関係は)非常に厳しい競争になるだろう」と伝えたことを明らかにした。

 バイデン氏は中国との競争に勝つためには、①米国の労働者や科学技術分野への投資を拡大②欧州や日米豪印(クアッド)など同盟国・友好国との関係強化③中国国内で起きている人権弾圧に対し、世界各国の注意を喚起――を実行していく考えを示した。とくに人権問題をめぐっては、バイデン氏は習氏に対し、「米国人は自由の概念と人権を尊重している」と伝えたという。バイデン氏は新疆ウイグル自治区と香港に言及し、人権問題では妥協しない姿勢を強調した。

 バイデン氏はまた、「中国は世界を主導し、最も裕福で最も強力な国になるという目標を持っている」と指摘。そのうえで、「私が監視している限り、それは起きることはない。米国は成長し、拡大し続けるからだ」と語った。

 「新冷戦」と呼ばれる米中対立の激化とともにコロナ危機も相まって、米国に代表される民主主義的な体制と中国に代表される権威主義的な体制のどちらが機能するかという国家理念の対立は深まっている。バイデン氏は会見で、体制間競争が行われているとの認識を示したうえで、「我々は民主主義が機能することを証明しなければいけない」と訴えた。(ワシントン=園田耕司)