新型コロナウイルスのワクチン普及を根拠に株価が上昇していますが、ブルームバーグインテリジェンスは「チリに学ぶ教訓」と題して、ワクチンだけでは終息しないと指摘しています。チリでは37%の住民が少なくとも1回の接種を受けたにもかかわらず、感染が急拡大。行動制限を最小限に抑えてきたことが響いたとの分析です。投資家の世界でも、ワクチン普及に基づくリフレ取引の波には乗らないヘッジファンドの慎重さが目を引きます。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
2兆円超え
東芝に英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズなどが買収を提案すると、日本経済新聞が報じた。経営陣や当局などと合意できれば株式公開買い付け(TOB)に乗り出し、株式を非公開化する。買収額は2兆円を超える見通しという。この報道を受けて、東芝の米国預託証券(ADR)は日中高値に上昇した。CVCは東芝の株式取得を検討していると、複数の関係者が述べた。
明るさにも格差
国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通し(WEO)で、2021年の世界成長率の予測を6%に上方修正した。一方で各国内および先進国と発展途上国との格差拡大や乖離(かいり)に警鐘を鳴らした。2021年の日本の実質国内総生産(GDP)成長率見通しはプラス3.3%と、前回1月の予想から0.2ポイント上方修正された。
周知のリスク
クレディ・スイス・グループは金融ベンチャー、グリーンシル・キャピタルとともに運営していたファンドで最終的に生じる損失を、顧客に転嫁する方向に傾いていると事情に詳しい関係者が明らかにした。グリーンシルを巡るリスクは投資家に知られており、ファンドの販売先はそのようなリスクを理解できる投資家だけだったとクレディ・スイスは考えているという。
2%ライン
米国債利回りの新たな急上昇は市場を動揺させ、より多くのファミリーオフィスとヘッジファンドをアルケゴス・キャピタル・マネジメントと同じ運命に追いやる可能性があると、ヌリエル・ルービニ氏が警告した。「フロス(泡)やバブル、リスクテークとレバレッジが随所に見られる。多くのプレーヤーがレバレッジとリスクを取り過ぎており、その一部は暴発するだろう」とインタビューで語った。衝撃の引き金になり得る状況として、10年物米国債の利回りが年内に2%を超えた場合を挙げた。
逃げ遅れの責任
アルケゴス・キャピタル・マネジメントのポジション破綻でクレディ・スイスに生じた損失は、世界の投資銀行の中でも最大級とみられる。同問題は1-3月(第1四半期)の赤字と複数の幹部更迭につながった。同行はアルケゴスに絡み44億スイス・フラン(約5200億円)の減損を1-3月に計上することと、減配や自社株買い停止を発表。グリーンシル・キャピタルのファンド問題に続く不手際で、トマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)のリスク管理が問われている。
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